こんにちは、ベトナム株投資アドバイザーのベトテク太郎です。
「新興国株は業績が読めない」
よく聞く言葉ですよね。実際、僕も12年前にハノイに来たばかりの頃は、ベトナム企業の決算を見るたびに「本当にこの数字信じていいの?」って疑ってました。
でも、そんな疑念を吹き飛ばすような決算が出てくるんです。今回紹介するDAP-VINACHEMみたいに。
肥料メーカーが突然の大躍進
2025年第3四半期、ベトナムの肥料メーカーDAP-VINACHEM(証券コード:DDV)が発表した決算は、まさに「衝撃」の一言でした。
売上高は1,396億VND(約85億円)で前年同期比85%増。これだけでも十分すごいんですが、本当に驚くべきは利益です。
税引後純利益が221億VND(約13億円)で、前年同期比でなんと988%増。つまり約10倍です。
「10倍って…本当に?」
僕も最初、数字を二度見しました。でも、この急成長には明確な理由があるんです。
価格上昇と販売増の”二刀流”
今回の業績急伸の要因を分解すると、実に合理的な成長ストーリーが見えてきます。
まず、DAP肥料の平均販売価格が1トンあたり1,774万VNDとなり、前年同期比で456万VND(約34%)も上昇しました。さらに、販売量も2,030トン(3.8%)増加。
価格も上がって、販売量も増える。これって、需要が供給を上回ってる証拠なんですよね。
加えて、化学品部門の売上が前年比387億VND増加。つまり、主力の肥料だけでなく、新規事業も順調に成長している。
正直なところ、この「複数の成長ドライバー」を持ってる企業って、新興国では貴重なんです。
コスト管理の妙技
ここで注目したいのが利益率の改善です。
売上が85%増えたのに対し、コストの増加率はそれを下回った。その結果、営業利益は276億VND、純利益は221億VNDと、前年のほぼ10倍に跳ね上がりました。
「売上が増えればコストも増えるのが普通じゃないの?」
そう思いますよね。でも、肥料製造って規模の経済が効く業界なんです。生産量が増えれば、1トンあたりの製造コストが下がる。DDVはそのメリットを最大限活かしたわけです。
ハノイの街を歩いていると、郊外の工業団地で肥料工場がフル稼働してる様子をよく見かけます。農業国ベトナムの底力を実感する瞬間です。
9カ月累計でも圧倒的な成果
第3四半期だけでなく、2025年1-9月の累計実績も素晴らしい内容でした。
- 売上高:4,175億VND(前年比68%増)、年間計画の120%達成
- 税引前利益:620億VND、年間計画の300%近く達成
- 税引後純利益:496億VND(前年比348%増)
つまり、年間計画を9カ月で大幅に上回ってるんです。第4四半期の業績次第では、通期で更なるサプライズがあるかもしれません。
DDVってどんな会社?
ここで、DDVの基本情報を整理しておきましょう。
正式名称は「DAP-VINACHEM株式会社」。ベトナムの国営化学品グループVINACHEMが64%の株式を保有する、いわば国策企業です。
主力製品はDAP(リン酸二アンモニウム)肥料で、ベトナム国内の農業を支える重要な存在。化学品部門にも進出し、事業の多角化を進めています。
国営企業というと「非効率」ってイメージがありますよね。でも、ベトナムの国営企業の中には、民間並み、いやそれ以上の効率性を持つ企業もあるんです。DDVはまさにその代表例。
株価は既に反応済み?
市場はこの好決算をどう評価したのか。
2025年10月17日の終値は35,000VNDで、前日比6.38%上昇。決算発表直後の急騰です。
ただ、ここで冷静に考えたいのは「既にこの好決算は織り込まれたのか?」という点。
年初から見ると、DDVの株価はまだ大きく上昇してるわけではありません。つまり、今回の決算はサプライズだった可能性が高い。
「じゃあ、今から買っても遅い?」
いえ、そうとも限りません。第4四半期の業績次第では、2026年の期待値が更に上がる可能性もあります。
投資判断のポイント
DDVへの投資を検討する際、以下のポイントを押さえておきたいところです。
強み:
- 国営企業としての安定性と資金力
- 価格決定力を持つ市場ポジション
- 事業多角化による成長余地
- 通期で計画を大幅超過する業績
リスク:
- 国営企業ゆえのガバナンス懸念
- 肥料価格の変動リスク
- 原材料(リン鉱石等)の輸入依存
- 流動性がやや低め
個人的には「HOLD(継続保有)」の判断です。既に株価が反応してしまった今、急いで飛びつく必要はないと思いますが、押し目があれば検討する価値は十分にあります。
ベトナム農業の成長とともに
ハノイの郊外を車で走ると、延々と続く田んぼと、そこで働く農家の姿が目に入ります。
ベトナムは今も農業大国です。そして、農業の近代化・効率化はまだまだ進む余地がある。
DDVのような肥料メーカーは、その成長の恩恵を直接受ける立場にいます。人口増、所得向上、食糧需要の拡大。すべてが追い風です。
「地味な業界だけど、実は成長ストーリーがしっかりしてる」
これ、新興国株投資の醍醐味なんですよね。
さて、今回のDDVの決算をどう見るか。皆さんのご意見も、ぜひコメント欄や@viettechtaroのDMでお聞かせください。
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