こんにちは、ベトナム株投資アドバイザーのベトテク太郎です。
2025年11月6日から7日にかけて、台風13号「Kalmaegi」がベトナム中部を直撃し、甚大な被害をもたらしました。ハノイに住む私も、連日のニュース報道で現地の深刻な状況を目の当たりにしています。
今回は、この台風被害の詳細と、ベトナム経済・株式市場への影響について考察していきます。
台風13号の被害状況
ベトナム農業農村開発省の防災管理局によると、11月7日早朝の時点で台風13号は熱帯低気圧に勢力を弱め、さらにラオス南部で低圧帯へと変化しました。
しかし、その爪痕は深刻です。
人的被害については、死者5名(ダクラク省3名、ザライ省2名)、負傷者6名が確認されています。亡くなられた方々のご冥福をお祈りするとともに、被災された皆様に心よりお見舞い申し上げます。
住宅被害の規模は相当なものです。11月7日午前7時時点で、完全に倒壊した住宅が52棟、損傷や屋根の吹き飛ばされた住宅が2,593棟に達しています。特にザライ省では2,412棟もの住宅が被害を受けており、集中的な被災状況が伺えます。
その他の被害として、船舶9隻が沈没(ダクラク省4隻、クアンガイ省1隻、ザライ省4隻)し、ザライ省では広範囲で停電が発生しています。
記録的な降雨量
台風13号の特徴は、その強風だけでなく、記録的な豪雨にありました。
11月6日朝から7日午前5時までの間、フエからダクラクまでの各省で150〜280mmの降雨を観測。局地的には350mmを超える地点も現れました。
特に注目すべき観測地点の降雨量は以下の通りです。
- バクマ山頂(フエ):396mm
- チャータイン(クアンガイ):312mm
- チュラング(ザライ):393mm
- ダクプリング(ザライ):313mm
- ダムトラン(ダクラク):504mm
- スアンラム(ダクラク):285mm
ダムトランの504mmという数値は、1日でこれだけの雨が降ったことを意味します。東京の年間降水量が約1,500mmですから、その3分の1が一晩で降った計算になります。これがどれほど異常な事態か、想像に難くありません。
今後の気象予報と警戒区域
ベトナム防災管理局は、11月7日から8日にかけて、タインホアからクアンチ北部にかけての地域で50〜150mm、局地的には200mmを超える降雨を予測しています。
クアンチ南部からダナン、中部高原地域でも20〜50mm、局地的に80mmを超える雨が予想されており、引き続き警戒が必要です。
土砂災害や洪水のリスクが高まっているため、該当地域にお住まいの方や関係者の方は、現地当局の指示に従って安全を確保していただきたいと思います。
政府の対応と今後の復興計画
ベトナム国家民間防衛指揮部によると、党・政府指導部の迅速な指示、特に首相の強力なリーダーシップと各省庁の連携、そして地方政府と住民の主体的な行動により、台風の勢力に比して被害は最小限に抑えられたとのことです。
過去に同規模の台風が上陸した際の被害と比較しても、今回の損失は大幅に少なくなっています。これは、ベトナムの防災体制が着実に進化している証拠といえるでしょう。
今後の復興に向けて、政府は以下の方針を打ち出しています。
最優先課題は、被災者の生活再建です。「住民を飢えさせない、住む場所を失わせない、医療ケアを受けられないことがないように、生徒が学校に通えなくなることがないように」という明確な目標が掲げられています。
インフラ復旧については、学校、病院、住宅の再建を優先し、2025年の経済成長目標達成に貢献するよう、迅速な対応が求められています。
各地方政府は現在も被害状況の詳細な調査を続けており、今後さらに正確な被害総額が明らかになる見込みです。
ベトナム経済への影響を考える
今回の台風被害は、短期的にはベトナム中部の経済活動に影響を与えることは避けられません。
建設セクターは復興需要により一時的に活況を呈する可能性があります。住宅再建、インフラ修復、公共施設の復旧工事などが見込まれるためです。セメント、鉄鋼、建材関連企業にとっては需要増加のチャンスとなるかもしれません。
保険セクターは、被害規模によっては保険金支払いが増加し、短期的な業績圧迫要因となる可能性があります。ただし、長期的には災害リスクへの意識高まりから保険加入率が上昇するという、ポジティブな効果も期待できます。
農業セクター、特に中部高原地域のコーヒー生産への影響が懸念されます。ダクラクはベトナム最大のコーヒー生産地ですから、今回の被害がコーヒー輸出量に影響を与える可能性は注視すべきでしょう。
観光セクターは、フエ、ダナン、ホイアンなどの観光地を抱える中部地域が被災したことで、年末の観光シーズンに向けた懸念材料となります。ただし、過去の経験から見ても、ベトナムの復旧スピードは驚くほど早いため、長期的な影響は限定的かもしれません。
ハノイで生活していて感じるのは、ベトナム人のレジリエンス(回復力)の高さです。自然災害に見舞われても、驚くべきスピードで日常を取り戻していく姿を何度も目にしてきました。
株式市場への影響とチャンス
今回の台風被害がベトナム株式市場に与える影響について、冷静に分析してみましょう。
マクロ経済指標への影響は、2025年第4四半期のGDP成長率にわずかな下押し圧力となる可能性はありますが、年間目標の達成を脅かすほどではないと見ています。ベトナム政府は6.5〜7.0%の成長目標を掲げており、復興需要が新たな経済活動を生み出す側面もあるためです。
セクター別の投資機会を考えると、建設・建材関連銘柄は短期的に注目度が高まる可能性があります。ホアファットグループ(HPG)のような鉄鋼大手や、ビグラセラ(VGC)などのセラミック・建材メーカーは、復興需要の恩恵を受けるでしょう。
ただし、こうした「災害関連需要」を狙った短期的な投資は、私の投資スタイルとは異なります。長期的な成長性とバリュエーションを重視する投資家にとっては、一時的な株価変動は気にする必要がありません。
むしろ、今回の災害対応を通じて、ベトナム政府のガバナンス能力や防災インフラの整備状況が改めて確認できたことは、長期投資家にとってポジティブな情報です。
気候変動リスクとベトナム株投資
今回の台風被害は、気候変動がもたらすリスクを改めて認識させる出来事でもありました。
ベトナムは地理的に台風の通り道に位置しており、今後も同様の自然災害リスクを抱え続けます。投資家としては、このリスクをどう評価し、ポートフォリオに反映させるかが重要です。
私自身、ベトナム株投資を12年続けてきた中で、自然災害による一時的な株価下落を何度も経験してきました。しかし、長期的な視点で見れば、そうした下落は絶好の買い増しチャンスであったことがほとんどです。
重要なのは、投資先企業が自然災害リスクに対してどのような対策を講じているか、事業継続計画(BCP)が整備されているか、といった点をチェックすることです。
まとめ:長期投資家としての視点
台風13号「Kalmaegi」は、ベトナム中部に大きな被害をもたらしましたが、ベトナムの経済成長のストーリーを根本から揺るがすものではありません。
被災された方々の一日も早い生活再建を願うとともに、投資家としては冷静に市場を見守る姿勢が求められます。
短期的な株価変動に一喜一憂するのではなく、ベトナム経済の長期的な成長性を信じて投資を続けることが、結果的に最も報われる戦略だと、私は確信しています。
ハノイの街を歩いていると、たくましく生きるベトナムの人々の姿に勇気づけられます。この国の未来は明るい。そう信じられるからこそ、私はベトナム株投資を続けているのです。
いかがでしたでしょうか。今回の台風被害について、皆さんのご意見もぜひお聞かせください。コメント欄や@viettechtaroのDMでお待ちしています。
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