ベトナム・ハノイで起きたフォトブース盗撮事件の真相

こんにちは、ベトナム株投資アドバイザーのベトテク太郎です。

ハノイで生活していて感じるのは、この街の若者文化の活気です。おしゃれなカフェ、SNS映えするスポット、そして今回問題となったフォトブース。日本でも人気のフォトブースですが、ここベトナムでも若い世代を中心に大流行しています。

しかし先日、ハノイで起きた事件が、この楽しいはずのトレンドを一気に恐怖に変えてしまいました。

目次

ハノイ・バックマイ通りで発覚した衝撃の事件

ハノイのバックマイ通りにあるフォトブース「PIXIE」で、18歳の女子学生が自分の着替え中の映像が「ダークウェブ」に流出していることを発見しました。発覚したのは25本の動画。さらに、他にも27人の被害者がいることが判明しています。

正直言って、ハノイに住んでいる僕でも、この事件には心底驚きました。バックマイ通りといえば、学生や若者が集まるエリア。僕も何度も通ったことがある場所です。そんな身近な場所で、こんな卑劣な犯罪が行われていたなんて。

店舗側は「セキュリティカメラがハッキングされた」と主張し、さらに「その部屋は着替え用ではない」という苦しい言い訳をしています。事件発覚後、カメラは撤去されましたが、既に流出した映像は取り返しがつきません。

現在、被害者の家族が通報し、バックマイ地区警察が捜査を進めています。

法律の専門家が警告する最大15年の実刑

この事件について、ハノイ弁護士会のダン・ヴァン・キュオン博士(法学博士・弁護士)が法的見解を明らかにしています。

加害者が直面する可能性のある罪状は3つあります。

わいせつ文化物頒布罪(刑法第326条):流出した映像が裸体を含み、わいせつな性質を持ち、101人以上に拡散された場合、または10GB以上のデジタルデータの場合、最大15年の懲役刑が科される可能性があります。

侮辱罪(刑法第155条):映像がわいせつではなくても、被害者の名誉や人格を著しく傷つけ、精神的・健康的な影響を与えた場合、最大5年の懲役刑となります。

不正な情報送信・使用罪(刑法第288条):同意なく個人的なプライバシー映像を不正に送信し、公共の秩序や被害者の精神生活に深刻な影響を与えた場合、最大7年の懲役刑です。

さらに注目すべきは、隠しカメラ自体が「条件付き営業品目」であり、その不正な製造・売買も法律違反となる点です。

店舗経営者の責任はどこまで及ぶのか

キュオン弁護士によれば、違反行為を行った個人だけでなく、店舗所有者や管理者も法的責任を負う可能性があります。

特に重要なのは、経営者が不正な録画行為を知っていながら黙認していた場合、連帯責任を負うということです。

今回の被害者は思春期の女子学生たち。自分のプライベートな映像がダークウェブに流出したことを知ったとき、彼女たちが受けるショックは計り知れません。精神的な健康への深刻な影響、家族への影響を考えると、これは極めて重大な犯罪です。

ベトナムの法律では、名誉や人格を侵害する行為には行政罰または刑事罰が科されます。さらに、民法に基づく損害賠償の義務も発生します。これには、被害を軽減・回復するための合理的な費用と、精神的苦痛に対する賠償金が含まれます。

被害者が今すぐすべきこと

キュオン弁護士は、被害者が取るべき具体的な手順を示しています。

まず、証拠を保全すること。流出した画像や動画、リンクをすべて保存します。より慎重を期すなら、公証役場で証拠を正式に記録することも可能です。

次に、居住地または事件発生地の警察に被害届を提出します。侮辱罪または不正な情報送信罪として処理を求め、事件の詳細と容疑者情報を提供します。

さらに、被害者には削除要求権があります。当局に対して加害者への映像削除命令を求めることができるほか、SNSプラットフォームやデジタルサービス提供者に直接、違法コンテンツの削除を要請できます。これらのプラットフォームが削除を怠った場合、連帯責任を問われる可能性もあります。

家族による心理的サポートも不可欠です。当局は捜査のため、該当店舗の営業を一時停止することも検討すべきでしょう。

精神的損害賠償は可能なのか

民法第584条によれば、他人の名誉や人格を侵害して損害を与えた者は賠償責任を負います。

民法第592条に規定される「名誉・人格侵害による損害」には、被害を制限・回復するための合理的な費用、実際に失われたまたは減少した収入、そして精神的苦痛を補償するための金銭が含まれます。

精神的苦痛に対する賠償額は当事者間の合意によって決まります。合意できない場合、名誉・人格を侵害された一人当たりの最大額は、国が定める基本給の10倍までとされています。被害者は損害の程度を証明する資料を集め、賠償請求の根拠とする必要があります。

SNSで拡散・悪質コメントした人も処罰対象

見逃せないのは、動画をシェアした人や悪質なコメントをした人も法的責任を負うという点です。

キュオン弁護士は明確に述べています。「他人のプライベート情報を拡散したり、被害者の名誉や人格を著しく傷つける悪質なコメントをしたりする行為は、すべて法的責任を問われます」

違法と知りながら故意に実行し、結果を望んだり放置したりする行為は、すべて過失ありと判断され、責任を負わされます。

したがって、このような機微な情報に接した際は、絶対にシェアや拡散、不適切なコメントをしてはいけません。SNSサービス提供者も、迅速にチェックして阻止しなければ連座する可能性があります。

ハノイで暮らす僕が感じる警鐘

この事件は、個人のプライバシー権と個人データ保護に対する認識と責任感が、まだ多くの人に十分でないことを浮き彫りにしています。病的な趣味や歪んだ認識から、法律を軽視する人々がいるのが現実です。

キュオン弁護士は、顧客と当局の双方に警告を発しています。

顧客側へ:着替え室、ホテルの客室、スパなど、プライベート空間では最大限の注意が必要です。不正な映像収集を発見したら、即座に当局に通報し、現行犯逮捕と処理を求めるべきです。

当局側へ:違反する営業施設を速やかに発見・処理する必要があります。特に、偽装録画機器を製造・販売する業者を厳しく取り締まり、供給源から違反行為を阻止すべきです。

ハノイの街を歩いていると、至る所にフォトブースやカラオケボックス、スパなど、若者向けの娯楽施設があります。楽しいはずの場所が、こうした犯罪の温床になってしまうのは本当に残念でなりません。

僕自身、ハノイに住む日本人として、こうした事件は他人事ではありません。もし自分の家族や友人が被害に遭ったらと思うと、ゾッとします。ハノイには風俗とかもあるので性欲を抑えられなくなったらプロにお願いしてもらいたいものです。

ベトナムでビジネスを展開する企業への警告

この事件は、ベトナムで事業を行う企業にとっても重要な教訓です。

顧客のプライバシー保護は、単なる倫理的義務ではなく、法的義務です。違反すれば、最大15年の実刑という厳しい刑罰が待っています。さらに、企業イメージの失墜、営業停止、損害賠償請求といったビジネスリスクも計り知れません。

ベトナム株投資の観点から見ても、こうした法令遵守(コンプライアンス)の問題は企業価値を大きく左右します。顧客データ保護やプライバシー尊重の姿勢が欠如している企業は、長期的な投資対象として適切とは言えません。

特に、消費者向けサービス業に投資する際は、こうしたリスク管理体制がしっかりしているかどうかを見極める必要があります。

いかがでしたでしょうか。今回のハノイで起きたプライバシー侵害事件について、皆さんのご意見もぜひお聞かせください。コメント欄や@viettechtaroのDMでお待ちしています。

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