こんにちは、ベトナム株投資アドバイザーのベトテク太郎です。
ハノイで生活していると、街のあちこちで新しいマンションやオフィスビルの建設現場を目にします。特にここ数ヶ月、その勢いが加速しているんです。「また新しいプロジェクトか」と思いながら通勤していたら、先日興味深いレポートが目に飛び込んできました。
ベトナムの不動産企業の販売売上が、2025年から2026年にかけて爆発的に増加するという予測です。
正直なところ、僕も最初は半信半疑でした。「また楽観的な予測じゃないの?」って。でも、数字を見て驚いたんです。2025年の予測販売売上は前年比142%増の273.5兆VND。さらに2026年は40%増の382.6兆VNDに達するというんですから。
実は、ハノイの街を歩いていて肌で感じていた「何か変わってきたな」という感覚が、データで裏付けられた形になったんです。
ベトナム不動産市場に何が起きているのか
証券会社BSCの最新レポートによると、ベトナムの不動産市場は2025年から2026年にかけて、需要と供給の両面で力強い回復を見せると予測されています。
特に注目すべきは、市場の構造が変わりつつあるという点です。これまでベトナムの不動産市場といえば、高級物件への偏りや、郊外の土地投機など、実需から離れた動きが目立っていました。でも今、市場は本当に住むための住宅、特にインフラが整備された地域の物件に注目が集まっているんです。
ハノイで暮らしていて実感するのは、若い世代の住宅ニーズの高まりです。結婚して子どもができて、「そろそろ家が欲しいね」という友人たちが増えています。でも、彼らが求めているのは投機目的の高級物件じゃない。通勤しやすくて、学校や病院が近くにある、現実的な価格の住宅なんです。
政府の支援が変えるゲームチェンジ
ベトナム政府は、健全な不動産市場を維持するために積極的に動いています。特に注目すべきは、社会住宅(日本でいう公営住宅のようなもの)の供給拡大です。
2025年に施行された政令261号によって、社会住宅を購入できる対象者の所得上限が引き上げられました。さらに、住宅ローンの金利も6.6%から5.4%に引き下げられたんです。これ、かなり大きな変化なんですよ。
建設省は、2021年から2030年にかけて最低100万戸の社会住宅を建設する計画に、20社の大手不動産企業を参加させると発表しました。17の地方自治体には、2030年末までに達成すべき社会住宅の建設目標が割り当てられています。
実際、ハノイでも「Nhà ở xã hội(社会住宅)」という看板をよく見かけるようになりました。友人のベトナム人エンジニアも、「以前は手が届かなかったけど、今なら買えそう」と話していました。
商業用不動産の新しい波
社会住宅だけでなく、商業用不動産(普通のマンションやオフィスビル)にも大きな変化の波が来ています。
市場を形作る主な要素として、BSCは以下を挙げています。省の統合後の都市計画の見直し、インフラ接続の改善、そしてTODモデル(公共交通機関を中心とした都市開発戦略)の導入です。さらに、不動産税、土地使用料、土地収用に関する政策のロードマップも重要な要素となっています。
ハノイでは、メトロ(地下鉄)の路線が徐々に開通しつつあります。まだ全線開通には至っていませんが、メトロ駅周辺の不動産価格は確実に上昇しています。これがまさにTODモデルの効果なんです。
先日、友人がメトロ駅から徒歩5分のマンションを購入したんですが、「通勤が楽になるし、将来的に価値も上がりそう」と満足そうでした。
投資家目線で見る爆発的成長の中身
さて、ここからが投資家として重要なポイントです。
BSCの予測によると、不動産企業の新規販売売上は2025年と2026年に力強く回復し、その後2027年から2028年にかけて、物件の引き渡し(実際にお金が入ってくるタイミング)がピークを迎えることで利益成長を牽引するというシナリオです。
2024年半ばから、ベトナムの不動産市場は供給と吸収力の両面でポジティブな変化を見せています。その背景には3つの主要な要因があります。
投資資金が力強く回復し、プロジェクト展開が促進されています。供給が実需により適合するようになり、特に南部の地方で顕著です。そして、供給側も需要側も、インフラが整備された居住目的の物件に注目しているという点です。
数字で見ると、その勢いは圧倒的です。2025年の新規販売売上は前年比142%増の273.5兆VND。2026年はさらに40%増の382.6兆VNDに達する見込みです。
もっと面白いのは、最大手のビンホームズ(VHM)を除いた数字を見たときです。2025年の販売売上は前年比283%増の35.3兆VND、2026年は55%増の54.7兆VNDになると予測されています。つまり、大手だけでなく、中堅企業も含めた市場全体が活性化しているということなんです。
バリュエーションと投資機会
投資判断で重要なのは、やはりバリュエーション(株価の割安・割高の判断)です。
現在、不動産セクターのP/B(株価純資産倍率)は平均1.79倍で取引されています。これは前回の成長サイクル(2016年から2020年)の1.6倍から2.0倍とほぼ同水準です。
ただし、BSCは興味深い指摘をしています。新しいサイクルでは、各フェーズでのバリュエーションが前回のサイクルよりも高くなる可能性があるというんです。
その理由は明確です。強い住宅需要と投資資金の回帰が、2024年から2025年9ヶ月にかけて不動産価格を押し上げ続けています。特に南部地域のプロジェクトでは、法的な問題や業界サイクルによって長年抑制されていた供給と需要が、ようやく解放され始めているんです。
実際、ホーチミン市やその周辺の不動産価格の上昇は、ハノイにいる僕でもニュースでよく耳にします。南部のポテンシャルは本当にすごいですね。
投資家が注目すべき3つのテーマと銘柄
BSCは、2025年第4四半期から2026年にかけて、不動産セクターの銘柄を3つのテーマに分類しています。
キャッシュフローの改善が見られる銘柄として、DXG(ダットサーグループ)、PDR(フーニュアン・ジュエリー・不動産投資)、NVL(ノバランド)、DIG(DICグループ)が挙げられています。
利益成長の見通しが良好な銘柄として、DXG、PDR、VHM(ビンホームズ)、TCH(ティンチャンホールディングス)。
そして、南部市場で潜在的な土地ポートフォリオの優位性を持つ銘柄として、KDH(カンディエン不動産)、VHM、NVL、NLG(ナムロン投資)です。
バリュエーションと事業見通しの相関関係を考慮して、BSCは不動産セクターに対して楽観的な評価を維持しており、お気に入りの銘柄としてDXG、PDR、KDH、NLG、VHMを挙げています。
個人的には、この中でもVHMは引き続き注目していますし、中小型のKDHやNLGも面白そうだなと思っています。ただし、不動産株は変動が大きいので、ポートフォリオの一部として慎重に組み入れる必要がありますね。
ベトナム不動産市場の持続可能性
最後に、この爆発的な成長は持続可能なのか、という点についてです。
政府が健全な市場を維持しようと努力している点は評価できます。急激な価格上昇を抑制しつつ、社会住宅の供給を増やすことで、需給バランスを取ろうとしているわけです。
ただし、レポートでも指摘されているように、不動産価格のコントロールには段階的なアプローチが必要です。突然の規制は大きなショックを生み、投資環境や経済全体に悪影響を及ぼす可能性があります。
現時点では、社会住宅と商業住宅の供給を増やすことが、市場の需給バランスと価格と量のバランスを取るための主要な手段として位置付けられています。これは理にかなったアプローチだと思います。
ハノイで暮らしていて感じるのは、ベトナムの不動産市場は確実に成熟してきているということです。かつてのような投機的な動きではなく、実需に基づいた健全な成長が見られるようになりました。
もちろん、リスクはあります。金利の上昇、経済成長の鈍化、政策の急激な変更などです。でも、長期的に見れば、人口構造(若い世代が多い)、都市化の進展、中間層の拡大という構造的な追い風がある限り、ベトナムの不動産市場には成長余地があると考えています。
いかがでしたでしょうか。今回のベトナム不動産市場の展望について、皆さんのご意見もぜひお聞かせください。コメント欄や@viettechtaroのDMでお待ちしています。
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