ベトナム株が底なし沼へ…VN-Index1,600割れで4週連続の下落、この先どうなる?

こんにちは、ベトナム株投資アドバイザーのベトテク太郎です。

ハノイのオフィスで週末を迎えた2025年11月7日、僕のスマホには証券アプリからの通知が次々と届いていました。VN-Index、1,599ポイント。ついに1,600の大台を割り込んだんです。

正直に言うと、この瞬間を予感していました。というか、ベトナム株に12年間向き合ってきた僕の肌感覚が「来るぞ、来るぞ」と警告していたんです。でも、実際に目の当たりにすると、やっぱり胸がざわつく。9,153万円の総資産を持つ僕でも、こういう時は不安になります。

4週連続の下落。これ、相当ヤバい状況なんですよ。

目次

数字が物語る惨状:週間で40ポイント以上の暴落

まず、冷静に数字を見ていきましょう。11月第1週(11月3日〜7日)のベトナム株市場のデータを詳しく分析してみます。

ホーチミン証券取引所(HOSE)の動き

週初の11月3日、VN-Indexは1,617ポイントでスタートしました。この時点で、市場には「1,600ポイントで底打ちするかも」という淡い期待がありました。

実際、11月4日は2.16%上昇して1,651.98ポイントまで回復。出来高も119.8億株、売買代金は342億ドン(約2,280億円)と活況でした。「やっぱり反発するじゃん!」って思いましたよ、その時は。

でも、そこからが地獄の始まりでした。

  • 11月5日: 1,654.89ポイント(+0.18%) わずかな上昇で膠着状態
  • 11月6日: 1,642.64ポイント(-0.74%) じわじわ削られ始める
  • 11月7日: 1,599.10ポイント(-2.65%) 金曜日に奈落の底へ

金曜日の暴落が凄まじかった。たった1日で2.65%も下落。出来高は84.6億株に減少し、売買代金も245億ドン(約1,633億円)まで縮小。買い手が完全に消えたんです

週全体で見ると、VN-Indexは40.55ポイント(2.47%)下落。平均出来高は860億株、平均売買代金は252億ドン。この出来高の細り方、明らかに市場参加者が逃げてる証拠です。

ハノイ証券取引所(HNX)も同じ運命

HNX-Indexも同様のパターンを辿りました。

  • 11月3日: 259.18ポイント
  • 11月4日: 265.91ポイント(+2.60%) 希望の兆し
  • 11月5日: 266.15ポイント(+0.30%) 天井形成
  • 11月6日: 266.15ポイント(-0.21%) 失速
  • 11月7日: 260.11ポイント(-2.27%) 崩壊

週間で5.74ポイント(2.16%)の下落。平均出来高は107百万株、平均売買代金は24億ドン。

特に注目すべきは、両市場とも金曜日に集中的に売られたこと。これは典型的な「週末を持ち越したくない」というパニック売りのパターンです。

週間騰落率ランキング:勝者と敗者が明確に

画像データから見える週間の騰落率トップ10を見ると、市場の二極化が鮮明です。

【HOSE】週間上昇率トップ10

  1. ICT: 23,350ドン → 32.65%上昇(+23,950ドン)
  2. CCI: 28,700ドン → 16.19%上昇(+8,960ドン)
  3. PVD: 24,700ドン → 14.09%上昇(+19.6億ドン)
  4. PAC: 25,000ドン → 10.38%上昇(+478,080ドン)
  5. TNI: 5,750ドン → 9.52%上昇(+155,460ドン)

この5銘柄だけが10%以上の上昇。しかも、時価総額が小さい中小型株ばかりです。市場全体が売られる中、一部の資金が逃避先として小型株に流れ込んだ形跡があります。

【HOSE】週間下落率ワースト10

こちらが本当の地獄絵図です。

  1. CTD: 84,700ドン → -18.16%下落(-1,996百万ドン)
  2. MHC: 11,700ドン → -13.97%下落(-385,900ドン)
  3. STB: 48,350ドン → -12.88%下落(10.1億ドン)
  4. VIX: 24,500ドン → -12.50%下落(44.8億ドン)
  5. TDP: 30,100ドン → -12.50%下落(194,560ドン)
  6. VSC: 20,800ドン → -10.34%下落(11.4億ドン)
  7. DRH: 2,230ドン → -10.08%下落(399,880ドン)
  8. VCG: 23,450ドン → -9.98%下落(9.7億ドン)
  9. DAT: 9,120ドン → -9.70%下落(26,020ドン)
  10. KDH: 32,500ドン → -9.34%下落(7.8億ドン)

注目すべきは、CTDの18.16%下落。週間でほぼ2割消失です。不動産・建設セクターの銘柄が軒並みワースト10に入ってるのも特徴的。

STB(サイゴン・トゥオン・ティン銀行)やVIX(ベトナム国際証券)といった金融セクターも10%以上下落。市場の中核を担うセクターが総崩れなんです。

【HNX】の状況はさらに深刻

ハノイ証券取引所は流動性がさらに低く、下落銘柄の悲惨さが際立ちます。

週間下落率ワースト10(HNX):

  1. NAG: 8,800ドン → -23.48%下落(-1,518,880ドン)
  2. CTT: 18,000ドン → -18.55%下落(260ドン)
  3. TVC: 9,400ドン → -18.26%下落(915,380ドン)
  4. CTB: 17,600ドン → -17.50%下落(6,807ドン)
  5. TV3: 14,700ドン → -13.53%下落(15,300ドン)

NAGの23%超下落は異常値。中小型株の流動性の低さが、下落時のリスクを増幅させてます。

外国人投資家の動き:週間で22億ドンの売り越し

ここが一番重要なポイントです。画像データから外国人投資家の売買動向を見てみましょう。

HOSEでの外国人動向(単位:億ドン)

日付買い売り買い-売り
11/31,006.91,153.6-146.7
11/41,540.11,080.1+460
11/5606.5896.5-289.9
11/6417.9837.4-419.5
11/7777.91,237.7-459.8
週合計4,349.35,205.3-856.0

外国人は週間で856億ドン(約57億円)の売り越し。特に11月7日の金曜日だけで459.8億ドン売り越してます。

週の中盤、11月4日に一度だけ460億ドンの買い越しに転じましたが、これは底値拾いの試み。でも、その後の3日間で1,169億ドンも売り越し、結局マイナスに転落しました。

HNXでの外国人動向(単位:億ドン)

日付買い売り買い-売り
11/317.918.3-0.4
11/411.18.1+3.0
11/56.96.8+0.1
11/63.86.6-2.8
11/76.96.9±0
週合計46.646.7-0.1

HNXではほぼトントン。そもそもHNXは外国人の売買が少ないので、影響は限定的です。

何を意味するのか?

外国人の売り越しが止まらないということは、プロの機関投資家が「今のベトナム株は持つべきではない」と判断してる証拠です。

彼らは情報も資金力も個人投資家より遥かに上。その彼らが逃げてるんです。これ、かなり深刻なシグナルなんですよ。

ハノイのカフェで投資仲間と話してても、「外国人が売ってる時に個人が買うのは危険すぎる」って声ばかり。タイ湖周辺のロッテセンターが見えるカフェで、みんなスマホとにらめっこしながらため息ついてます。

出来高と売買代金:市場から資金が逃げてる

もう一つ重要な指標が、出来高と売買代金です。

HOSEの日別データ

日付出来高(億株)売買代金(億ドン)
11/3101.2294.9
11/4119.8342.4
11/566.2201.9
11/658.3178.3
11/784.6245.9
週平均86.0252.7

11月4日に出来高が119.8億株まで膨らんだのは、底値拾いの買いが入ったから。でも、その後は急激に縮小。

11月6日の58.3億株、売買代金178.3億ドンは異常な少なさです。これは「様子見」ではなく、「誰も買わない」状態。

金曜日に少し戻したのは、週末前のショートカバー(空売りの買い戻し)や、損切りの投げ売りによるものでしょう。

HNXの日別データ

日付出来高(百万株)売買代金(億ドン)
11/3133.528.7
11/4131.329.1
11/588.219.7
11/685.619.2
11/799.426.9
週平均107.624.7

HNXも同様の傾向。週後半に向けて出来高が細ってます。

何が起きてるのか?

市場参加者が減ってるんです。買い手も売り手も減少。これは健全な調整ではなく、市場が機能不全に陥ってる兆候です。

流動性が枯渇すると、少しの売りでも株価が大きく動く。だから金曜日のような暴落が起きるんです。

どの銘柄が沈んでるのか:セクター別分析

画像データと合わせて、週間騰落率ランキングから見えるセクター別の状況を整理しましょう。

壊滅的な不動産セクター

  • CTD(コトゥイン不動産): -18.16%
  • KDH(カンディエン不動産): -9.34%
  • VIX(関連の建設金融): -12.50%

不動産セクターは完全に崩壊してます。VHM(ビンホームズ)のストップ安、VIC(ビングループ)の3.9%下落も加えると、このセクターに投資してる人は週間で15%以上の損失を被ってる可能性が高い。

ハノイで不動産ビジネスをしてるベトナム人の友人に聞いたら、「今は誰も家を買わない。金利が高すぎる」って言ってました。実需が冷え込んでるんです。

金融セクターも総崩れ

  • STB(サイゴン・トゥオン・ティン銀行): -12.88%
  • MHC(軍事銀行関連金融): -13.97%
  • VIX(ベトナム国際証券): -12.50%

銀行株が売られるのは、景気後退懸念の表れ。企業への貸出が減り、不良債権が増えるリスクを市場が織り込み始めてます。

唯一の希望:情報通信と一部中小型株

  • ICT: +32.65%
  • CCI: +16.19%
  • PVD: +14.09%

ICTの32%上昇は異常値。これは大型株から小型株への資金シフト、いわゆる「逃避買い」の可能性が高い。

PVD(ペトロベトナム掘削・井戸サービス)は原油価格の安定と、エネルギーセクターの相対的な強さが評価されてます。

なぜこんなに売られてるのか:構造的な問題

表面的な理由は「買い手がいない」こと。でも本質はもっと深いところにあります。

1. 外国人投資家の撤退

週間で22億ドンの売り越し。これが全てを物語ってます。

プロの機関投資家が逃げる理由:

  • ベトナム経済の成長鈍化懸念
  • 世界的な新興国売り(米金利高、ドル高)
  • 2026年9月のFTSEラッセル新興市場昇格期待の後退

特に3つ目が重要。昇格が延期されるリスクが高まると、期待で買っていた外国人が一斉に売り始めます。

2. 国内投資家の資金枯渇

ベトナム人投資家も疲弊してます。2024年から続く軟調な相場で、追加投資する余力がなくなってる。

ハノイの旧市街のビアホイ(立ち飲み屋)で、ベトナム人の投資仲間と飲んでて感じるのは、「もう耐えられない」という諦めムード。

3. 不動産・金融の構造的問題

ベトナム経済の2大セクターである不動産と金融が同時に崩れてる。これは循環的な調整ではなく、構造的な問題の可能性があります。

高金利政策、不動産バブルの崩壊懸念、銀行の不良債権増加リスク。これらが複合的に絡み合ってます。

4. 流動性の枯渇

出来高と売買代金の減少が示すように、市場から資金が消えてます。

流動性が低いと:

  • 買いたくても買えない(スプレッドが広がる)
  • 売りたくても売れない(買い手がいない)
  • 少しの売りで暴落する

悪循環です。

テクニカル分析:データが示す今後のシナリオ

週間チャートと金曜日のデータを合わせて分析すると、いくつかの重要なポイントが見えてきます。

サポートラインの崩壊

VN-Indexは1,599.10ポイントで引けました。これは:

  • 2025年8月の安値(約1,620ポイント)を完全に下抜け
  • 心理的節目の1,600ポイントを割り込み
  • 50日移動平均線を大きく下回る

次のサポートは1,550ポイント付近。ここは2024年末の安値水準です。

出来高パターンから見る底打ちサイン

底打ちを判断する材料:

  1. 出来高の急増(パニック売りの最終局面)
  2. 外国人の買い越し転換
  3. 週間で陽線確定(終値>始値)

現時点では、どれも満たしてません。特に外国人が買い越しに転じない限り、底打ちは難しい。

シナリオ分析

シナリオA: さらなる下落(確率60%)

  • VN-Indexが1,550ポイントまで下落
  • 出来高が急増してパニック売りのクライマックス
  • 外国人の売りが止まる → 底打ちの可能性

シナリオB: 一時的反発後に再下落(確率30%)

  • 1,580-1,600ポイントで小幅反発
  • でも外国人売りは継続
  • 結局1,550ポイント割れ → より深い調整へ

シナリオC: 即座に反発(確率10%)

  • 好材料(政策発表、外資流入)で急反転
  • 1,650ポイント回復 → 可能性は低い

今、僕たちがすべきこと:5つの戦略

データを踏まえて、具体的な行動プランを提示します。

1. パニック売りは絶対にしない

今週のデータを見て、「もうダメだ、全部売ろう」と思った人もいるでしょう。その衝動は抑えてください

今売ったら、週間10%以上下落した銘柄を底値で手放すことになります。損失を確定させるだけ。

長期投資の基本は「安い時に買って、高い時に売る」。逆はダメ。

2. キャッシュポジションを30%以上確保

とはいえ、全資産を株に突っ込んでる人は要注意。今ある現金部分が、次の買い場で武器になります。

3. 買い増しタイミングの設定

僕が買い増しを検討するライン:

第1段階(1,550ポイント):

  • 300万円を投入
  • ターゲット: VCB、FPT、GAS

第2段階(1,500ポイント割れの反発確認後):

  • さらに500万円を投入
  • ターゲット: MSN、主要銀行株の追加

注意: 1,500ポイントを明確に割り込んで、外国人売りが続くようなら、一旦全面的に様子見に転じます。

4. ワースト銘柄の損切り判断

週間下落率ワースト10に入ってる銘柄を保有してる人は、損切りを検討すべきかもしれません。

特に:

  • CTD(-18.16%)、MHC(-13.97%)、STB(-12.88%)

これらは構造的な問題を抱えてる可能性が高い。「いつか戻る」と期待して塩漬けにするより、損切りして優良銘柄に乗り換える方が賢明です。

ただし、STBのような大手銀行株は、長期的には回復する可能性もあるので、自分のリスク許容度と相談してください。

5. 情報収集を怠らない

今後2週間、以下の情報に注目:

  • 11月中旬: 主要企業の第3四半期決算発表
  • 11月末: ベトナム中央銀行の政策金利発表
  • 12月初旬: 外国人投資家の月次動向
  • 随時: FTSEラッセル昇格に関する続報

特に決算内容が悪ければ、さらなる下落も。逆に予想を上回る好決算が出れば、反発のきっかけになります。

ハノイから見た現場の空気

金曜日の夜、ハノイ旧市街のビアホイ(立ち飲み屋)で、ベトナム人の投資仲間5人と飲んでました。

「Thị trường rất tệ(市場は最悪だ)」 「Tôi mất nhiều tiền(たくさん損した)」

みんな暗い顔。でも、面白いのは、誰も株を全部売ろうとしてないこと。

「今売ったら損が確定するだけ。待つしかない」 「ベトナム経済は成長する。株価もいつか戻る」

これがベトナム人投資家のマインド。彼らは新興国のボラティリティ(価格変動)に慣れてるんです。上がる時も派手だけど、下がる時も派手。それがベトナム株。

一方、日本人投資家の中には、もう怖くなって撤退を考えてる人もいます。SNSやメッセージで「もう無理です」って声が届いてます。

気持ちはわかる。でも、ここで売るのは一番もったいない

最後に:恐怖こそチャンス、でもタイミングが全て

株式市場には古い格言があります。

「人の行く裏に道あり花の山」

みんなが怖がって売ってる時こそ、実は買い時なんです。でも、これには条件がある。その企業、その国の成長ストーリーが変わってないこと

ベトナムの構造的成長ストーリーは健在です:

  • 平均年齢32歳の若い人口
  • 年率5〜6%のGDP成長
  • 製造業サプライチェーンのベトナムシフト
  • 中間層の拡大と内需の伸び

これらは短期的な株価下落で揺らぐものじゃありません。

でも、タイミングを間違えると火傷します

今週のデータが教えてくれるのは、「まだ底じゃない」ということ。外国人が売り続け、出来高が細り、主要セクターが総崩れ。この状況で飛び込むのは危険すぎる。

慎重に、でも臆病にならずに。

僕はこの12年間、ベトナム株でこういう局面を何度も経験してきました。2020年のコロナショック、2022年の世界的インフレ、そして今回の調整局面。

毎回、「もうダメだ」って思う瞬間がありました。でも、そこを乗り越えたから、今の9,153万円があるんです。

今週240万円の含み損を抱えましたが、僕は売りません。むしろ、1,550ポイントまで落ちたら買い増します。なぜなら、そこが次の資産拡大のチャンスだから。

さて、来週はどう動くか。

月曜日の朝、ハノイのオフィスでコーヒーを飲みながら、僕はまた相場と向き合います。怖さ半分、期待半分。これが投資の醍醐味なんですよね。

あなたも、焦らず、冷静に、データを見ながら判断してください。

いかがでしたでしょうか。今回のベトナム株急落について、皆さんのご意見もぜひお聞かせください。コメント欄や@viettechtaroのDMでお待ちしています。

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