こんにちは、ベトナム株投資アドバイザーのベトテク太郎です。
ハノイで生活していると、最近の市場の空気感が少し変わってきたのを肌で感じます。タイホー(西湖)のほとりにあるカフェで朝のコーヒーを飲みながら、現地のビジネスマンたちが話している内容も、以前より金融市場の話題が増えているような気がします。
そんな中、2025年11月6日、ベトナムの銀行間市場で注目すべき動きがありました。短期金利が再び6%の水準に到達したのです。これは投資家として見逃せない重要なシグナルです。今回は、この金利動向が何を意味し、ベトナム株投資にどう影響するのかを解説していきます。
銀行間金利が示す資金需給の変化
ベトナム国家銀行(中央銀行)が公表したデータによると、11月5日時点で銀行間市場の平均貸出金利は、ほぼすべての期間で上昇傾向を示しました。特に注目すべきは、翌日物(オーバーナイト)金利と1週間物金利が共に6.0%に達したことです。
これがどういう意味かというと、銀行同士がお金を貸し借りする際の金利が上がっているということ。つまり、市場で資金需要が高まっている証拠なんです。
具体的な金利水準を見てみましょう。
- 翌日物金利:6.0%(前回比+0.1~0.3ポイント)
- 1週間物金利:6.0%(前回比+0.1~0.3ポイント)
- 2週間物金利:5.8%
- 1ヶ月物金利:5.8%(前回比-0.05ポイント)
短期金利が上昇する一方で、1ヶ月物だけが若干低下しているのも興味深いポイントです。これは超短期での資金需要が特に強いことを示唆しています。
中央銀行の資金供給オペレーション
ベトナム国家銀行は11月5日、担保オペレーション(レポ取引)を通じて市場に8兆8,548億8,000万ドン(約567億円)を供給しました。これにより、担保オペの残高は合計259兆1,925億4,000万ドン(約16.5兆円)に達しています。
正直なところ、この規模の資金供給を見ると、「市場に資金を回さないとダメな状況なのかな?」と若干不安になる瞬間もあります。でも、これは必ずしも悪いサインではありません。
中央銀行の入札結果を詳しく見てみると、
入札実施額
- 7日物:4兆ドン → 成立3兆6,336億6,000万ドン
- 14日物:13兆ドン → 成立7兆3,659億8,000万ドン
- 28日物:21兆ドン → 成立17兆9,126億5,000万ドン
- 91日物:10兆ドン → 全額成立
入札金利は**全期間で4.0%**に設定されており、これは政策金利の水準を維持したい中央銀行の意図が読み取れます。
為替レートの動きにも注目
ベトナムドンの対ドル為替も微妙に動いています。11月6日時点で、
- 中心為替レート:25,100ドン/ドル(前日比+3ドン、週初比+7ドン)
- 商業銀行の買値:26,105ドン/ドル(前日比+4ドン、週初比+28ドン)
- 商業銀行の売値:26,355ドン/ドル(前日比+4ドン、週初比+8ドン)
- 自由市場レート:買値27,770ドン/ドル、売値27,840ドン/ドル
実はハノイの旧市街にある両替商でドルを交換する時、このレートの動きを肌で感じることがあります。以前より若干ドンが弱含みになっているような気がするんです。
自由市場レートと公式レートの差が広がっているのも気になるポイントです。これは市場参加者がドルを必要としている証拠かもしれません。
国債市場の動向
国債の入札結果も興味深いデータです。国庫は総額13兆ドンの国債入札を実施しましたが、実際に落札されたのは**4兆1,800億ドン(32%の落札率)**でした。
期間別の詳細
- 5年債:入札3兆ドン → 落札1兆1,200億ドン、金利3.16%(前回比+0.02ポイント)
- 10年債:入札8兆ドン → 落札3兆600億ドン、金利3.83%(前回比+0.03ポイント)
- 15年債:入札1兆5,000億ドン → 落札なし
- 30年債:入札5,000億ドン → 落札なし
長期債が全く売れなかったのは、投資家が長期金利の上昇を予想している可能性があります。または、単純に長期での資金運用に慎重になっているのかもしれません。
流通市場では、短期債の利回りは横ばいでしたが、長期債の利回りは若干上昇しました。
- 3年債:2.91%
- 5年債:3.16%
- 7年債:3.42%
- 10年債:3.83%
- 15年債:3.9%
ベトナム株投資への影響を考える
さて、これらの金利動向がベトナム株投資に何を意味するのか。正直に言うと、短期的には若干の逆風になる可能性があります。
金利上昇の株式市場への影響
金利が上がると、企業の資金調達コストが増加します。特に借入金の多い企業、例えば不動産セクター(ビンホームズ:VHM、ビングループ:VIC)や建設セクターには短期的なマイナス要因です。
また、金利が上がると国債などの債券の魅力が相対的に高まるため、株式から資金が流出する可能性もあります。実際、ここ数週間のVN-Indexを見ていると、若干の調整局面に入っているのを感じます。
でも、長期投資家には関係ない話
と、若干ネガティブな話をしましたが、実はこれ、長期投資家にはあまり関係ありません。なぜか?
ベトナムの経済成長率は今後も5~6%を維持すると予想されています。平均年齢32歳の若い人口構成、急速に拡大する中間層、外資企業の製造拠点としての魅力。これらの構造的な強みは、短期的な金利変動で揺らぐものではありません。
むしろ、金利が上がっている今こそ、一時的に株価が下がった優良企業を拾うチャンスとも言えます。
注目すべきセクターと銘柄
この金利環境で私が注目しているのは、借入依存度が低く、キャッシュフローが潤沢な企業です。
銀行セクター
実は銀行株は金利上昇局面で恩恵を受けることがあります。貸出金利と預金金利の差(利ざや)が拡大する可能性があるからです。
- ベトコムバンク(VCB)
- テクコムバンク(TCB)
- 軍隊銀行(MBB)
これらの大手銀行は、金利上昇局面でも安定した収益を上げられる可能性が高いです。
消費財セクター
金利が上がっても、人々は食料品や日用品を買います。内需型の優良企業は比較的影響を受けにくいです。
- ビナミルク(VNM)
- サイゴンアルコール飲料(SAB)
- マサングループ(MSN)
特にビナミルクは配当利回りも高く(約4~5%)、金利上昇局面での防御的な投資先として魅力的です。
テクノロジーセクター
FPT(FPT)のような借入が少なく、キャッシュリッチな企業は金利環境の影響を受けにくいです。さらに、デジタルトランスフォーメーション(DX)需要は構造的に拡大しており、短期的な金利変動とは別次元の成長ストーリーがあります。
私のポートフォリオへの影響
現在、私のポートフォリオは今回の金利上昇を受けて、特に大きな変更は考えていません。
なぜなら、私が保有している主力銘柄(VIC、銀行株など)は、短期的な金利変動に左右されるような企業ではないからです。むしろ、もし株価が10~15%程度調整するようなら、追加購入を検討する良い機会だと思っています。
実際、ハノイの街を歩いていると、経済の実態は依然として活発です。ロンビエン地区の工業団地は相変わらず稼働率が高いですし、タイホー地区の高級コンドミニアムも次々と完売しています。金利が少し上がったくらいで、この勢いは止まりません。
まとめ:冷静に、でも注視は必要
ベトナムの銀行間金利が6%に上昇したことは、短期的には株式市場にとって若干の逆風要因です。しかし、長期的な成長トレンドに変化はなく、むしろ優良企業を割安で拾える機会が来るかもしれません。
投資家として意識すべきポイント
- 短期的な金利変動に一喜一憂しない
- 借入依存度の低い優良企業を選ぶ
- 株価調整は買い増しのチャンス
- ベトナム経済の構造的な強みは不変
金利が上がる、株が下がる、みんな慌てる。でも冷静に考えてください。ベトナムは今後20~30年成長し続ける国です。短期的なノイズに惑わされず、長期的な視点を持ち続けることが、ベトナム株投資で成功する秘訣だと思います。
いかがでしたでしょうか。今回の金利動向について、皆さんのご意見もぜひお聞かせください。コメント欄や@viettechtaroのDMでお待ちしています。
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