こんにちは、ベトナム総合ニュース&株式投資解説のベトテク太郎です。
11月10日、ハノイで開催されたベトナムビジネスフォーラム(VBF)2025に注目が集まっています。今回のテーマは「デジタル時代におけるグリーン転換のための政府と企業のパートナーシップ」。ファム・ミン・チン首相が直接登壇し、ベトナムの成長戦略を語りました。
投資家として12年間ハノイに住む私から見ても、今回のフォーラムは単なる政策発表の場ではありません。ベトナムが「政治的決意」として打ち出したグリーン転換とデジタル変革は、今後の投資環境を大きく変える可能性を秘めています。
正直なところ、ベトナムの政府主導イベントって形式的なものが多いんですよね。でも今回は違う。首相が「行動」という言葉を強調したのが印象的でした。つまり、言うだけじゃなくて本気で動くぞ、という宣言です。
今回発表された重要ポイント
ファム・ミン・チン首相が示したのは、5つの具体的なコミットメントでした。
まず第一に、行政改革とデジタル変革の加速です。行政手続きの簡素化を進め、デジタル政府、デジタル経済、デジタル社会の構築を推進するとのこと。これ、実は投資家にとって超重要です。なぜなら、ベトナムでビジネスをする上で最大のネックが「お役所仕事の遅さ」だからです。
私も営業の仕事で何度も経験しましたが、書類一つ承認してもらうのに数週間かかるなんてザラでした。それがデジタル化で改善されるなら、外国企業の投資意欲は確実に高まります。
第二に、グリーン・デジタルインフラの開発強化。具体的には物流インフラ、ビッグデータ、クリーンエネルギーへの投資です。ハノイに住んでいると実感するんですが、最近の物流改善スピードは目を見張るものがあります。タイ湖エリアの配送時間が2年前と比べて明らかに短縮されているんですよ。
第三に、高品質FDI(外国直接投資)プロジェクト向けの人材育成。ベトナムの平均年齢は32歳、人口1億人という若い労働力が最大の武器です。その人材に高度なスキルを身につけさせれば、製造業中心から高付加価値産業へのシフトが現実になります。
第四に、従来の成長ドライバー(投資、輸出、消費)の刷新と、新しい成長ドライバーの開拓。これは「今までのやり方だけじゃダメだ」という認識の表れです。ベトナムは長年、低コスト製造拠点として成長してきましたが、それだけでは限界がある。だから新しい成長エンジンが必要なんです。
第五に、FDI企業への呼びかけ。ベトナムへの投資拡大、ベトナム企業とのパートナーシップ強化、そして制度的枠組みの構築と統治の近代化への協力です。特に最後の部分、「統治の近代化」という言葉に注目してください。これは透明性の向上、法の支配の徹底を意味します。
なぜこのフォーラムが投資家にとって重要なのか
というかですね、ベトナムビジネスフォーラムは1994年から続く歴史あるイベントなんです。30年以上、外国投資家とベトナム政府の対話の場として機能してきました。
その場で首相自らが「グリーン転換とデジタル変革は政治的決意だ」と明言したわけです。これ、ただの努力目標じゃないんですよ。ベトナム政府が本気でコミットするという意思表示です。
実は、ベトナム株投資で成功するコツって、政府の方向性を読むことなんです。ベトナムは社会主義国家なので、政府が「これをやる」と決めたら、資源が集中的に投入されます。だから政府の動きを追うことが、投資機会を見つける最短ルートになるんです。
今回のフォーラムで示された方向性は明確です。グリーンとデジタル。この2つのキーワードに関連する企業が、今後数年間で大きな成長機会を得るでしょう。
具体的にどんな分野が恩恵を受けるか。私が注目しているのは、FPT(証券コード:FPT)のようなIT企業、ビングループ(VIC)のようなインフラ開発企業、そしてPVパワー(POW)のようなクリーンエネルギー企業です。
グリーン転換とは具体的に何を意味するのか
「グリーン転換」って言葉、最近よく聞きますよね。でも実際のところ、ベトナムで何が起きているのか、日本にいたらなかなか見えないと思います。
ハノイに住んでいる私が見ている現実はこうです。
まず、電気自動車(EV)の急速な普及。ビングループ傘下のビンファスト(VFS)が量産を開始してから、街中でEVを見かける機会が明らかに増えました。特にタクシーやライドシェアでEVを使う比率が上がっています。
次に、太陽光発電の導入加速。ベトナムの太陽光発電設備容量は2018年の134MWから2023年には16,500MW以上に急増しました。約123倍ですよ。これ、すごくないですか?
そして再生可能エネルギーへのシフト。ベトナムは2050年までにネットゼロを達成する目標を掲げています。具体的には、2030年までに再生可能エネルギーの発電割合を30%以上に引き上げる計画です。
さらに、グリーンビルディングの増加。ハノイのロッテセンター周辺を歩くと、LEED認証を取得した環境配慮型ビルが次々と建設されているのが分かります。
ただ、課題もあります。グリーン転換には莫大な資金が必要です。世界銀行の試算によれば、ベトナムが2050年までにネットゼロを達成するには、約3,680億ドル(約55兆円)の投資が必要とされています。
これ、ベトナムのGDP(約4,000億ドル)とほぼ同じ規模です。国家予算だけでは到底まかなえません。だからこそ、民間投資、特に外国資本の呼び込みが不可欠なんです。
デジタル変革で何が変わるのか
デジタル変革も同じくらい重要です。
ベトナム政府が目指しているのは、行政手続きのオンライン化率100%。現在すでに80%以上の手続きがオンラインで可能になっていますが、これを完全デジタル化するというわけです。
例を出すと、企業登記。以前は書類を持って役所に何度も足を運ぶ必要がありましたが、今はほぼオンラインで完結します。私の会社でも最近、書類手続きにかかる時間が3分の1になりました。
デジタル決済の普及も加速しています。ベトナムのキャッシュレス決済比率は2020年の30%から2023年には50%を超えました。ハノイの屋台でもQRコード決済が普通になっています。私も最近、現金をほとんど使いません。
そして5Gネットワークの展開。ベトナムの通信大手3社(ビエッテル、VNPT、ビナフォン)が全国主要都市で5Gサービスを開始しています。ハノイでは中心部の大半で5Gが利用可能です。
デジタル変革で最も恩恵を受けるのは、IT企業と金融機関です。FPT、CMC(CMG)、ベトコムバンク(VCB)、テクコムバンク(TCB)などが有力候補でしょう。
FDI企業への期待と社会的責任
今回のフォーラムで首相が強調したもう一つのポイントが、FDI企業への期待です。
具体的には3つ。
一つ目、ベトナムへの投資拡大。これは分かりやすいですよね。もっとお金を持ってきてください、という話です。
二つ目、ベトナム企業とのパートナーシップ強化。これが実は重要で、外国企業が単独で動くのではなく、地元企業と協力してほしいという意味です。技術移転や人材育成につながりますから。
三つ目、制度的枠組みの構築と統治の近代化への協力。これは「ベトナムのルール作りを一緒にやりましょう」という呼びかけです。外国企業の知見を活かして、より良いビジネス環境を作りたいということです。
そして、社会的責任の強化も求められています。特に環境問題とグリーン成長に関してです。
正直なところ、ベトナムの環境規制はまだ発展途上です。でも、今後は確実に厳しくなります。環境対応が遅れた企業は淘汰されるでしょう。逆に、早い段階から環境配慮に投資している企業は競争優位を築けます。
投資家として見るべきポイントは、各企業の環境対策への取り組み度合いです。サステナビリティレポートを公開しているか、再生可能エネルギーを導入しているか、ESG評価はどうか。こういった指標が今後ますます重要になります。
投資家が今注目すべき3つのセクター
今回のフォーラムを踏まえて、私が注目しているのは以下の3セクターです。
クリーンエネルギー関連
太陽光発電、風力発電、バイオマスなどの再生可能エネルギー企業。PVパワー(POW)、ペトロベトナムガス(GAS)あたりが筆頭候補です。
ベトナム政府は2030年までに石炭火力の新規建設を停止し、再生可能エネルギーに全面シフトする方針を示しています。この流れに乗る企業は確実に成長します。
IT・デジタル関連
FPT(FPT)、CMC(CMG)、ベトテルIDC(VGI)など、デジタル変革を支えるIT企業。特にクラウドサービス、サイバーセキュリティ、ビッグデータ解析の分野が有望です。
ベトナムのデジタル経済規模は2023年の230億ドルから2025年には430億ドルに倍増すると予測されています。この成長市場で主導権を握る企業に投資したいところです。
グリーンインフラ関連
ビングループ(VIC)、ビンホームズ(VHM)など、環境配慮型の都市開発・不動産企業。LEED認証取得ビル、スマートシティ開発などが成長ドライバーになります。
ハノイやホーチミンでは、旧式の建物をグリーンビルに建て替えるプロジェクトが次々と進行しています。この市場は今後10年で急拡大するでしょう。
リスク要因も忘れずに
ただし、リスクも当然あります。
政策実行の遅れ
ベトナム政府は野心的な目標を掲げますが、実行が遅れることがよくあります。特にインフラプロジェクトは予定より2〜3年遅れるのが常態化しています。
資金調達の課題
グリーン転換には膨大な資金が必要です。政府予算だけでは不足し、民間資金の動員が不可欠ですが、これがスムーズに進むかは不透明です。
技術と人材の不足
高度なデジタル技術やグリーン技術を扱える人材がベトナムにはまだ少ないのが現実です。人材育成には時間がかかります。
地政学リスク
米中対立の影響を受けやすいベトナムですから、国際情勢の変化次第で投資環境が変わる可能性があります。
これらのリスクを踏まえた上で、長期的な視点で投資することが重要です。
結論:政府の本気度を見極めよ
そういうことなんです。
今回のベトナムビジネスフォーラム2025が示したのは、ベトナム政府の本気度です。グリーン転換とデジタル変革を「政治的決意」と明言し、首相自らが具体的なコミットメントを示しました。
投資家として注目すべきは、この政策の方向性に沿った企業です。クリーンエネルギー、IT・デジタル、グリーンインフラの3セクターが今後数年間で大きな成長機会を得るでしょう。
ただし、政策実行の遅れ、資金調達の課題、技術と人材の不足、地政学リスクといった要因も忘れてはいけません。
私自身も、ポートフォリオの一部をこれらのセクターにシフトしていく予定です。特にFPTとPVパワーは既に保有していますが、追加投資を検討しています。
ベトナム株投資の魅力は、政府の明確な方向性に沿って投資できることです。今回のフォーラムが示した道筋を追うことが、成功への近道だと私は考えています。
いかがでしたでしょうか。今回のベトナムビジネスフォーラム2025について、皆さんのご意見もぜひお聞かせください。コメント欄や@viettechtaroのDMでお待ちしています。
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