バングラデシュ人×ベトナム人カップルの愛に見る、ベトナムの「真の国際化」とは?ハノイ在住12年の視点

こんにちは、ベトナム総合ニュース&株式投資解説のベトテク太郎です。

先日、VnExpressで読んだ記事が心に響きました。バングラデシュ人ITエンジニアとベトナム人女性の国際結婚ストーリーです。二人が出会ったのは2018年、そして2024年11月にバングラデシュで結婚式を挙げた—このニュース、単なる美談として片付けるには惜しい、ベトナムの「真の国際化」を象徴する重要な事例だと感じています。

ハノイに12年住んでいる私の目から見ると、このようなストーリーが珍しくなくなってきたこと自体が、ベトナム社会の大きな変化を物語っています。

今日は、この結婚ストーリーを入り口に、ベトナムの国際化がどこまで進んでいるのか、そして投資家としてこの変化をどう捉えるべきかを考えてみたいと思います。

目次

ハノイで目撃する「多様化する外国人コミュニティ」の実態

バングラデシュ人エンジニアのShanewas Shakhawatさんは、テスター(ソフトウェア品質検証エンジニア)としてベトナムに来ました。記事によると、彼は現在31歳でハノイのミーディン地区に住み、毎日奥さんのために本格的なベトナム料理を作っているそうです。

これ、驚くべきことだと思いませんか?

私がハノイに来た2013年当時、外国人労働者といえば圧倒的に日本人、韓国人、欧米人でした。街で見かける外国人ITエンジニアのほとんどが日本や欧米の企業から派遣されてきた人たちで、バングラデシュやインドなどの南アジア出身者は本当に少数派でした。

しかし、2020年代に入ってからの変化は劇的です。

タイ湖エリアを歩いていると、バングラデシュ人、インド人、パキスタン人のグループをよく見かけるようになりました。ロッテセンター近くのカフェでも、南アジア系のITエンジニアたちがミーティングをしている光景が日常化しています。

この変化は何を意味するのか?

ベトナムのIT・製造業セクターが、もはや日本や欧米だけでなく、グローバル全体から人材を集められるレベルに達したということです。

ベトナムIT産業の「グローバル人材マグネット化」が意味すること

記事のShanewasさんは2018年にベトナムに来ましたが、実はこの時期はベトナムのIT産業にとって大きな転換点でした。

2018年前後、ベトナム政府は積極的にデジタル変革を推進し始め、IT人材育成に莫大な投資を行いました。同時に、外資系IT企業がこぞってベトナムに開発拠点を設立し始めた時期でもあります。

ベトナムのIT産業がグローバル人材を惹きつける3つの理由

1. コストパフォーマンスの高さ

バングラデシュやインドのITエンジニアにとって、ベトナムは「適度に高い給与」と「良好な生活環境」のバランスが取れた魅力的な選択肢です。

記事によると、Shanewasさんの給与水準は明記されていませんが、外国人ITエンジニアの平均月給は2,000-4,000USD程度。これは母国よりも高く、かつシンガポールや日本ほど生活費が高くない。

ハノイでの生活費は、夫婦二人で月1,500-2,000USDあれば快適に暮らせます。残りは貯蓄や投資に回せる—これは大きな魅力です。

2. キャリア成長の機会

ベトナムのIT業界は急成長中で、実力次第で昇進・昇給のチャンスが豊富です。Shanewasさんのようなテスターでも、数年で品質管理マネージャーやプロジェクトリーダーにステップアップできる環境があります。

私が知っているFPT、VNG、Momo Paymentなどのベトナム大手IT企業では、外国人エンジニアが要職に就いているケースが増えています。

3. 生活の質の高さ

これが一番重要かもしれません。

記事では、Shanewasさんが奥さんのNgoc Maiさんのために毎日ベトナム料理を作り、週末にはベトナム各地を旅行し、コロナ禍にはロンビエン橋の下でホームレスに食事を配るボランティアをしていたと書かれています。

彼が7年間ベトナムに留まり、ベトナム人女性と結婚した理由—それは単なる経済的メリットだけでなく、この国の「生活の質」「人々の温かさ」「多様性の受容力」にあると思います。

ハノイは、外国人にとって驚くほど住みやすい街です。英語がある程度通じ、治安が良く、食事が美味しく、娯楽も豊富。そして何より、ベトナム人は外国人に対してオープンで友好的です。

投資家として注目すべき「人材多様化」のシグナル

さて、ここからが投資の話です。

Shanewasさんのような外国人IT人材がベトナムに集まっているという事実は、投資家にとって重要なシグナルです。なぜなら、人材の流入は経済成長の先行指標だからです。

シグナル1:IT・ハイテクセクターの国際競争力向上

外国人IT人材がベトナムを選ぶということは、ベトナムのIT企業が国際標準の給与と労働環境を提供できるレベルに達したということです。

実際、FPT(証券コード:FPT)の2024年売上高は約70兆VND(前年比+18.9%増)、営業利益は約11兆VND(同+20.2%増)と好調です。海外売上比率は約65%で、グローバル企業としての地位を確立しています。

外国人エンジニアの流入は、FPTをはじめとするベトナムIT企業のさらなる成長を支える原動力になるでしょう。

シグナル2:都市開発・不動産セクターの長期需要

記事によると、ShanewasさんとMaiさんはミーディン地区のアパートに住んでいます。ミーディンはハノイ西部の新興住宅エリアで、外国人居住者が急増している地域です。

外国人労働者の増加は、中高級アパート、サービスアパートメント、国際学校などの需要を生み出します。これは不動産デベロッパーにとって安定した収益源です。

ビンホームズ(VHM)は、ミーディン周辺でも大規模な住宅開発プロジェクトを展開しています。外国人居住者の増加は、こうしたプレミアム住宅の需要を支えるでしょう。

シグナル3:消費・サービスセクターの多様化

外国人コミュニティの多様化は、消費パターンの多様化も意味します。

ハノイでは近年、インド料理店、中東料理店、ハラールフードショップが急増しています。これは南アジア・中東系の外国人居住者が増えている証拠です。

マサングループ(MSN)傘下のWinMartやVinMartなどの小売チェーンは、こうした多様な需要に対応した品揃えを強化しています。国際化はリテール業界にも新たな成長機会を提供しています。

「真の国際化」とは何か?—投資家が見るべき本質

ShanewasさんとMaiさんのストーリーで最も印象的だったのは、二人の関係が対等で、互いの文化を尊重し合っている点です。

Shanewasさんは奥さんのためにベトナム料理を学び、Maiさんはバングラデシュの家族に温かく迎えられました。これこそが「真の国際化」—一方的な同化ではなく、互いの違いを認め合い、共に成長する関係性です。

投資の文脈でも同じことが言えます。

ベトナムが「真の国際化」を実現しているかどうかは、単に外資が流入しているかどうかではありません。外国人人材が長期的にベトナムに留まり、家族を形成し、地域社会に貢献しているかどうかが重要です。

Shanewasさんは7年間ベトナムに住み、ベトナム人女性と結婚し、地域のボランティア活動にも参加しています。これは彼がベトナムを単なる「稼ぎ場」ではなく、「人生の舞台」として選んだことを意味します。

こうした外国人が増えれば増えるほど、ベトナムの消費市場、住宅市場、教育市場は安定し、多様化し、成長します。これは長期投資家にとって極めてポジティブなシグナルです。

投資家への示唆:「人材多様化」に賭けるべきセクター

ShanewasさんとMaiさんのストーリーから、私は以下の投資テーマが重要だと考えています。

テーマ1:IT・ハイテクセクター

注目銘柄:FPT(証券コード:FPT)

外国人IT人材の流入は、ベトナムIT企業の国際競争力向上を示しています。FPTは海外売上比率65%で、グローバル展開を加速しています。

2025年の売上高目標は約83兆VND(前年比+18.6%増)、営業利益は約13兆VND(同+18.2%増)と高い成長が見込まれています。

テーマ2:不動産・都市開発セクター

注目銘柄:ビンホームズ(VHM)

外国人居住者の増加は、中高級住宅の安定需要を生み出します。ビンホームズはハノイ・ホーチミンで大規模な住宅開発を展開しており、外国人顧客の比率も増加しています。

2025年の売上高目標は約180兆VND(前年比+76%増)と極めて高い成長を見込んでいます。

テーマ3:リテール・消費セクター

注目銘柄:マサングループ(MSN)

外国人コミュニティの多様化は、リテール業界に新たな成長機会を提供します。マサングループは食品・飲料から小売まで幅広く展開しており、多様化する消費ニーズに対応できる体制があります。

2025年の売上高目標は約197兆VND(前年比+21.5%増)、営業利益は約12兆VND(同+33.3%増)と好調な成長が見込まれています。

まとめ:ベトナムの「真の国際化」が投資チャンスを生む

ShanewasさんとMaiさんの愛の物語は、単なる美談ではありません。ベトナムが「真の国際化」を実現しつつあることを示す象徴的な事例です。

外国人人材がベトナムを選び、長期的に住み、家族を形成し、地域社会に貢献する—この流れは、ベトナム経済の持続的成長を支える重要な基盤です。

投資家として、私たちはこの「人材多様化」のトレンドを見逃してはいけません。IT・不動産・リテールセクターを中心に、新たな成長機会が生まれています。

ハノイのタイ湖エリアを歩くたび、多様な国籍の人々が共に暮らし、働き、遊んでいる光景を目にします。これこそがベトナムの未来—多様性を力に変える国際都市の姿だと確信しています。

いかがでしたでしょうか。今回のニュースから見えるベトナムの国際化について、皆さんのご意見もぜひお聞かせください。コメント欄や@viettechtaroのDMでお待ちしています。

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