こんにちは、ベトナム総合ニュース&株式投資解説のベトテク太郎です。
昨日の朝、ハノイの街を車で走っていると、またFPTの巨大な看板が目に飛び込んできました。オフィスビル、大学キャンパス、通信インフラ…FPTのロゴはこの街のどこを見ても見つけることができます。そして、仕事で訪れる多くのベトナム企業では、CMGやFPTのITシステムが使われています。
ベトナムに12年住んでいると、IT産業がこの国の経済をどれほど牽引しているかを日々実感します。今日は、そんなベトナムIT業界の主要銘柄について、現地在住の視点から徹底的に解説していきます。
この記事を読めば、ベトナムIT株の全体像から個別銘柄の選び方まで、すべてが分かります。
ベトナムIT産業の驚異的な成長力
まず、なぜ今ベトナムIT株なのか?その理由を数字で見てみましょう。
ベトナムIT業界の成長率
ベトナムのIT産業は2023年、前年比+41%という驚異的な成長を記録しました。2024年も二桁成長を継続し、世界的に見ても最も成長が著しい市場の一つとなっています。
成長を支える4つの要因
- 人件費の競争力: 日本の1/3〜1/5、中国やインドより割安な人件費
- 若年層の厚み: 平均年齢32歳、豊富なエンジニア人材
- 政府の優遇税制: IT企業には15年間10%の優遇税率
- 地政学的優位性: 中国リスク回避でIT企業が集積
実際、私が営業先で訪問するベトナム企業でも、デジタル化投資を加速させている会社が急増しています。新型コロナをきっかけに、ベトナム企業のDX意識は大きく変わりました。
ベトナムIT株一覧:規模別・特徴別に徹底整理
それでは、具体的にどんなIT銘柄があるのか、規模別に見ていきましょう。
【大型IT株】時価総額1兆VND以上の主力銘柄
FPT(FPT情報通信) – ベトナムIT業界の絶対王者
- 証券コード: FPT
- 時価総額: 約186.6兆VND(約1.1兆円)
- 株価: 126,000 VND
- PER: 21.52倍(2025年予想)
- ROE: 28.72%(2024年)
主要事業:
- ソフトウェア開発・SI(売上の62%)
- 通信サービス(同28%)
- IT教育事業(同10%)
2024年業績:
- 売上高: 62.8兆VND(前年比+19.4%)
- 税引後利益: 9,427億VND(同+21.0%)
- 営業利益率: 16.7%
現地での実感: ハノイ市内を走れば、必ずFPTの看板を目にします。FPT大学の卒業生は就職市場で引っ張りだこで、ベトナムIT業界の人材育成を一手に担っています。実際、私の会社の取引先企業でもFPTのシステムを使っている会社が多く、その信頼性とサービス品質の高さを日々実感しています。
投資判断: 強気BUY
- 海外売上高が売上全体の50%超(日本、米国、欧州市場で拡大中)
- 2024年11月、インド大手を破り米企業から2.25億USDの大型契約獲得
- AI・半導体分野への積極投資
FOX(FPTテレコム) – テレコム×ITの巨人
- 証券コード: FOX
- 時価総額: 約45.1兆VND(約2,640億円)
- 株価: 61,000 VND
- 主要事業: 電子機器製造、IT受託開発
FPTテレコム(FPT Telecom)とは、ベトナムを拠点とする大手IT企業グループFPTコーポレーション傘下の通信事業会社です。
CMG(CMC技術グループ) – FPTに次ぐ第2位のIT企業
- 証券コード: CMG
- 時価総額: 約8.2兆VND(約480億円)
- 株価: 38,100 VND
- PER: 23倍
- ROE: 12.2%
- 主要事業: システム開発、ITサービス
日系企業や欧米企業向けSI案件で実績豊富。実際、私が営業で訪問する日系企業でもCMGのシステムを採用しているケースが多く、日本語対応の質の高さが評価されています。
CTR(ベトテル建設) – 5G時代の本命銘柄
- 証券コード: CTR
- 時価総額: 約10.4兆VND(約608億円)
- 株価: 90,500 VND
- PER: 17.5倍
- 主要事業: 通信インフラ建設(5G関連)
親会社Viettelの5G全国展開で受注が急増中。ハノイ市内を走ると、5G基地局工事の現場をよく見かけます。この会社の成長ポテンシャルは非常に高いと感じています。
【中型IT株】成長期待の有力銘柄
ICT(テレコム・インフォマティック)
- 市場: HOSE
- 特徴: FPT系列の通信機器商社
- 主要事業: 通信機器販売
POT(郵電施設)
- 市場: HOSE
- 特徴: 郵便・通信インフラ整備
- 主要事業: 通信インフラ
ITD(ティエンフォン技術)
- 市場: HOSE
- 特徴: 金融システム開発に強み
- 主要事業: ITサービス
SAM(SAMホールディングス)
- 市場: HOSE
- 特徴: ITベンチャー投資
- 主要事業: IT投資
CAB(ベトナムケーブルテレビ)
- 市場: HOSE
- 特徴: デジタルコンテンツ配信
- 主要事業: ケーブルTV
VGI(ベトテルIDC)
- 市場: UPCoM
- 特徴: データセンター運営
- 主要事業: データセンター
- 注目ポイント: 5G時代のDC需要拡大
【新興IT株】高成長・ハイリスク銘柄
ELC(電気通信工事)
- 市場: UPCoM
- 注目ポイント: 2023年株価急騰銘柄
ABC(ABCテクノロジー)
- 市場: UPCoM
- 注目ポイント: AI・DX関連で急成長
【非上場・注目企業】将来のIPO候補
VNG Corporation
- 状況: 米国上場準備中
- 事業内容: Zalo(メッセンジャー)、ゲーム事業
- 特徴: ベトナム初のユニコーン企業
Zaloは、ベトナムで最も使われているメッセンジャーアプリです。私も仕事のやり取りは全てZaloで行っており、この会社の上場は大きなインパクトを与えるでしょう。
Viettel Group
- 状況: 国営・非上場
- 事業内容: ベトナム最大の通信キャリア
- 子会社: CTRが上場済み
VNPT
- 状況: 国営・非上場
- 事業内容: 国営通信大手、郵便・通信インフラ
セクター別投資戦略:どの分野に注目すべきか
ベトナムIT業界は大きく4つのセクターに分かれます。それぞれの特徴と投資戦略を見ていきましょう。
1. ソフトウェア開発・ITサービス(最も有望)
代表銘柄: FPT、CMG、ITD
成長ドライバー:
- ベトナム企業のDX投資拡大
- 海外市場での受注増加
- 人件費優位性による競争力
投資戦略: FPTを中核に据え、CMGで分散。ITDは金融システムに強みがあるため、金融セクター好調時に追加投資を検討。
2. 通信インフラ・5G関連(最も成長期待)
代表銘柄: CTR、POT、VGI
成長ドライバー:
- 5G商用化の本格展開(2024年〜)
- データセンター需要の急増
- 通信インフラ整備の継続
投資戦略: CTRは5G関連の本命銘柄として積極投資。VGIはデータセンター需要で中長期的な成長を見込む。
3. 電子機器製造(安定性重視)
代表銘柄: FOX
成長ドライバー:
- AppleのiPhone製造
- 中国+1政策でのベトナムシフト
投資戦略: 安定性を重視するなら、FOXを組み入れ。ただし、製造業の特性上、利益率は低めなので期待リターンは控えめに設定。
4. 通信機器・ケーブルTV(安定配当狙い)
代表銘柄: ICT、CAB
成長ドライバー:
- デジタルコンテンツ需要拡大
- 通信機器の継続需要
投資戦略: 配当狙いでの長期保有が基本。成長性よりも安定性を重視。
ベトテク太郎のおすすめIT株トップ3
現地12年の経験と投資実績を踏まえ、私が最もおすすめする3銘柄をご紹介します。
🥇 第1位:FPT(最有力・中核銘柄)
投資判断: 強気BUY 目標株価: 150,000-160,000 VND
おすすめ理由:
- ベトナムIT業界での圧倒的地位(市場シェア30%超)
- 海外売上高50%超で為替メリット享受
- ROE 28.7%の高収益体質
- AI・半導体分野への戦略的投資
- 2025年も売上+20%増の高成長継続
現地体感度: ★★★★★
FPTの看板は本当にどこでも見かけます。FPT大学の卒業生が多数活躍しており、この会社の人材育成力は業界トップです。実際、私の会社でもFPTのシステムを使っていますが、サポート品質の高さは群を抜いています。
ポートフォリオ配分: IT株投資額の50-60%
🥈 第2位:CTR(5G関連の本命)
投資判断: 積極BUY 目標株価: 105,000-110,000 VND
おすすめ理由:
- 親会社Viettelの5G全国展開で受注急増
- PER 17.5倍と割安水準
- 通信インフラ需要は長期的に拡大
- 政府の通信政策で恩恵大
現地体感度: ★★★★☆
ハノイ市内の5G基地局工事、本当によく見かけます。特にタイ湖エリアやロッテセンター周辺では、CTRの作業員が頻繁に工事をしています。5G時代の到来で、この会社の成長は確実です。
ポートフォリオ配分: IT株投資額の20-30%
🥉 第3位:FOX(安定性重視)
投資判断: HOLD(安定志向) 目標株価: 68,000-72,000 VND
おすすめ理由:
- 時価総額45兆VND、業界2位の規模
- AppleのiPhone製造で安定受注
- 製造業としての信頼性
- 配当期待
現地体感度: ★★★★☆
バクニン省の巨大工場は圧巻です。ベトナム製造業の象徴的存在で、中国+1政策の最大受益者の一つです。
ポートフォリオ配分: IT株投資額の10-20%
投資時の重要な注意点:リスク管理を徹底しよう
ベトナムIT株投資には、いくつかの重要な注意点があります。
1. 外国人保有制限(最重要)
多くの銘柄で外国人保有上限49%が設定されています。
確認方法:
- 証券会社のウェブサイトで「外国人保有率(Room)」をチェック
- 上限に近づいている銘柄は買えない可能性あり
対策:
- 購入前に必ず外国人保有率を確認
- 上限到達リスクの高い銘柄は避ける
2. 流動性リスク
中小型株は出来高が少なく、大口売買が難しい場合があります。
目安:
- 1日の売買高が最低100万株以上の銘柄を選ぶ
- 大型株(FPT、FOX等)は流動性の心配なし
対策:
- 中小型株は投資額を抑える
- 分散投資でリスク軽減
3. 為替リスク
ベトナムドン(VND)と円の為替変動リスクがあります。
過去の変動:
- 2020年: 1円=215VND
- 2025年: 1円=178VND(約17%のVND高・円安)
対策:
- 長期投資で為替変動を吸収
- 分散投資で為替リスクを軽減
4. 情報開示の限界
日本語での情報が限定的です。
対策:
- 英語版の決算資料を確認
- ベトナム株専門サイトを活用
- メンバーシップで最新情報をフォロー
2024-2025年のベトナムIT業界トレンド
今後のIT業界を左右する重要なトレンドを押さえておきましょう。
🔥 トレンド1:AI・クラウドサービスの爆発的拡大
FPTの売上の43%がAI・DX関連となっており、この分野の成長は著しいです。
具体例:
- 2024年4月、FPTは米NVIDIAと戦略提携
- AIファクトリーをベトナムと日本に展開
- 2030年までにAIエンジニア5万人養成計画
🔥 トレンド2:5G商用化の本格展開
2024年から本格展開が始まり、CTRが最大の受益者となっています。
政府目標:
- 2025年末までに主要都市で5Gカバー率70%
- 2030年までに全国で5Gカバー率95%
🔥 トレンド3:データセンター需要の急増
5G時代の到来で、VGI等のDC企業に追い風が吹いています。
市場予測:
- ベトナムDC市場は2025年までに年率25%成長
- 外資系クラウド事業者の進出加速
🔥 トレンド4:半導体人材育成
FPT大学が半導体学部を新設し、人材育成に本腰を入れています。
政府政策:
- 2030年までに半導体エンジニア1万人養成
- 半導体設計センターの誘致推進
実践的な投資戦略:ポートフォリオの組み方
具体的にどのようにポートフォリオを組むべきか、3つのパターンをご紹介します。
パターンA:安定重視型(推奨度★★★★★)
資産配分:
- FPT: 60%(中核)
- FOX: 30%(安定性)
- CTR: 10%(成長)
特徴:
- 大型株中心で安定性重視
- 初心者に最もおすすめ
- ボラティリティ低め
期待リターン: 年率10-15%
パターンB:成長重視型(推奨度★★★★☆)
資産配分:
- FPT: 50%(中核)
- CTR: 30%(5G)
- CMG: 20%(第2位企業)
特徴:
- 成長性を重視
- 中上級者向け
- ボラティリティやや高め
期待リターン: 年率15-25%
パターンC:分散投資型(推奨度★★★☆☆)
資産配分:
- FPT: 40%(中核)
- CTR: 20%(5G)
- FOX: 15%(製造)
- CMG: 15%(第2位)
- VGI: 10%(DC)
特徴:
- セクター分散を重視
- リスク管理徹底
- 上級者向け
期待リターン: 年率12-20%
私のポートフォリオ公開:IT株の実際の配分
参考までに、私のポートフォリオでのIT株配分をご紹介します。
総資産: 91.53百万円 IT株の配分: 約20%(18百万円相当)
内訳:
- FPT: 12.78%(11.7百万円)
- CMG: 3.27%(3.0百万円)
- その他IT関連: 約4%(3.3百万円)
投資方針:
- FPTを中核に据える(IT株の60%以上)
- 四半期ごとにリバランス
- 大幅下落時は買い増し
- 5年以上の長期保有を前提
よくある質問:ベトナムIT株投資のQ&A
Q1: ベトナムIT株はどこで買えますか?
A: SBI証券や楽天証券などの大手ネット証券で購入可能です。ただし、取扱銘柄は限定的なので、事前に確認が必要です。
Q2: 最低投資金額はいくらですか?
A: 銘柄によりますが、FPTの場合、1株12万6000VND(約708円)から購入可能です。ただし、証券会社の最低取引単位(通常100株)に注意が必要です。
Q3: 配当はもらえますか?
A: はい。FPTは年1回配当を実施しており、2024年は1株2,000VND(配当利回り約1.6%)でした。ただし、成長株が多いため配当利回りは低めです。
Q4: 税金はどうなりますか?
A: 配当に対してベトナムで5%源泉徴収後、日本で確定申告が必要です。売却益は日本で申告分離課税(20.315%)となります。
Q5: いつ買うのがベストですか?
A: タイミングを狙うより、長期的な積立投資がおすすめです。四半期決算後の調整局面や、市場全体が下落した際に買い増しを検討するのが良いでしょう。
まとめ:ベトナムIT株で成長を取り込もう
ここまで、ベトナムIT株について詳しく見てきました。最後にポイントを整理しましょう。
🎯 投資戦略の3つの鉄則
- FPTを中核に据える: 安定性と成長性のバランスが最良
- 5G関連のCTRで成長を取る: テーマ性抜群の有望銘柄
- 分散投資でリスク管理: 3〜5銘柄に分散
💬 ベトテク太郎の本音コメント
ハノイの街を歩けば、FPTの広告、Viettelの5G基地局工事、Foxconnの工場…ベトナムIT業界の成長を肌で感じます。
2024年のベトナムIT業界の株価パフォーマンスは+41%でしたが、2025年も二桁成長は堅いと見ています。
ただし、中小型株は流動性リスクがあるので、まずはFPTから始めて、慣れてきたらCTRやFOXを追加するのがおすすめです。
私のポートフォリオでは、IT株を全体の20%程度に設定しています(FPTが中心)。ベトナムの経済成長と技術革新を取り込むための重要な柱として位置づけています。
🚀 これからベトナムIT株を始める方へ
- まずは少額から: 5-10万円程度でFPT株を購入
- 四半期決算をフォロー: 業績を定期的にチェック
- 長期視点を持つ: 最低3-5年の保有を想定
- 情報収集を継続: メンバーシップで最新情報をキャッチ
ベトナムIT産業の成長は、まだ始まったばかりです。AI、5G、半導体…これからの10年が最も重要な成長期になるでしょう。
この機会を逃さず、一緒にベトナムIT株でFIREを目指しましょう!
いかがでしたでしょうか。今回のベトナムIT株特集について、皆さんのご意見もぜひお聞かせください。コメント欄や@viettechtaroのDMでお待ちしています。
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【メンバーシップのご案内】 より詳細な投資分析や、ポートフォリオの具体的な銘柄情報、現地からのリアルタイム情報をお求めの方は、ぜひメンバーシップへのご参加をご検討ください。 https://note.com/gonviet/membership
一緒にベトナム株でFIREを目指しましょう!
【免責事項】 本記事の内容は、情報提供のみを目的としており、いかなる金融商品または仮想通貨への投資の推奨を意図するものではありません。ベトナム株式投資は価格の変動が大きく、リスクを伴う投資対象です。投資判断はご自身の責任に基づいて行ってください。本記事で提供される情報の正確性、完全性、または最新性については、最大限の注意を払っていますが、保証するものではありません。投資の際には、専門家への相談を推奨いたします。この記事は、法的、税務的、または財務的なアドバイスを提供するものではありません。本記事の情報に基づいて行われた投資による損失や損害について、執筆者および当ウェブサイトは一切の責任を負いません。株式投資およびその関連商品に投資する際は、各国の規制および法律を確認し、法令を遵守することが重要です。
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