こんにちは、ベトナム経済&株式投資ニュース解説のベトテク太郎です。
先週末、タイ湖エリアの高級レストランで食事をしていたら、隣のテーブルに座っていたベトナム人グループが、ビンファストの最新EV購入について熱く語っていました。価格を聞いてびっくり。日本円で600万円以上するモデルを、それほど躊躇なく検討している様子でした。
12年前にハノイに来た時には、こんな光景は想像もできませんでした。でも今、ベトナムでは富裕層が急速に増えていて、消費の質が劇的に変化しています。今日は、この驚くべき変化の実態を、最新データとともにお伝えしたいと思います。
ベトナムの富裕層、実際の年収はいくらなのか?
「ベトナムの富裕層の年収はいくらですか?」という質問をよく受けますが、まずは定義から整理しましょう。
国際的な基準では、「保有資産1,000万ドル以上」をHNWI(富裕層)と呼びます。日本円で約15億円以上ですね。さらに上の「3,000万ドル以上」はUHNWI(超富裕層)と呼ばれ、約45億円以上の資産を持つ層です。
2024年時点で、ベトナムには「5,459人」のHNWI(富裕層)が存在しています。このうち、UHNWI(超富裕層)は「752人」です。さらに驚くべきことに、「1億ドル以上」の大富豪が58人、「10億ドル以上」の億万長者が6人もいるんです。
では年収はどうでしょうか。資産額ベースの分類なので直接的な年収データはありませんが、ROE(自己資本利益率)を10-15%と仮定すると、1,000万ドルの資産を持つ富裕層の年間投資収益は「100万〜150万ドル」、つまり「約1億5,000万円〜2億2,500万円」程度になります。
ちなみに、「ベトナムのトップ1%」に入るために必要な資産は440万ドル(約6.6億円)です。この数字、意外と手が届きそうに感じませんか?
ベトナムの富裕層は増加しているのか?驚異的な成長率
「ベトナムの富裕層は増加していますか?」という問いに対する答えは、明確に「イエス」です。しかも、その増加スピードが東南アジアで最速級なんです。
具体的な数字を見てみましょう。2017年から2021年の5年間で、ベトナムの富裕層(資産100万ドル以上)は「+70.8%」も増加しました。これ、実はASEAN諸国の中で最高水準の伸び率なんです。
比較してみると面白いですよ。
シンガポール:+25%(同期間) タイ:+35% インドネシア:+40% マレーシア:+30% フィリピン:+45% 「ベトナム:+70.8%」
絶対数ではシンガポール(約3万人)やタイ(約1万5千人)に及びませんが、増加スピードではベトナムが圧倒的です。
さらに将来予測を見ると、2028年までにUHNWI(超富裕層)は「978人」に達すると予想されています。これは2023年比で「+30%」の増加です。年平均成長率で約5.4%ですから、5年で3割増える計算になります。
ベトナム経済の将来性:なぜ富裕層が急増しているのか?
では、「ベトナムの経済の将来性は?」どうなのでしょうか。富裕層急増の背景には、強力な経済成長があります。
2024年のベトナムGDP成長率は「7.09%」でした。これ、ASEAN諸国の中でトップクラスです。しかも、この高成長が一時的なものではなく、構造的な要因に支えられているのがポイントです。
「第一の要因」は、FDI(海外直接投資)の継続的な流入です。2024年のFDI認可額は336.88億ドル(+10%)、実行額は253.5億ドルで過去最高を記録しました。サムスン、Intel、Canon、NVIDIAなど世界的大企業が続々とベトナムに投資しています。
私が住むハノイでも、タンロン工業団地には世界中の企業が集まっていて、その活況ぶりを日々実感しています。
「第二の要因」は、株式市場の活況です。2026年9月にFTSE Russellのセカンダリー新興市場への格上げが決定しており、50〜60億ドルの資金流入が予想されています。格上げ発表後、VN-Indexは史上最高値を更新しました。
「第三の要因」は、スタートアップと起業ブームです。2024年のAI投資は前年比「8倍」の8,000万ドルに達しました。NVIDIAとの協力で半導体・AI産業の育成も進んでいます。
「第四の要因」は、中間層の急拡大です。現在約1,320万人(総人口の13%)の中間層が、2030年には「5,000万人超」、つまり総人口の50%以上に達すると予測されています。
この中間層からの「富裕層への移行率」が年間1-2%あると推定されており、これが富裕層人口増加の最大の原動力になっています。
2030年までの展望:ベトナムは次のシンガポールになるか?
将来予測を見ると、さらに興奮します。
2030年までに、UHNWI(超富裕層)は「1,000〜1,200人」、HNWI(富裕層)は「8,000〜10,000人」、百万長者は「35,000〜40,000人」に達すると予想されています。
個人金融資産の総額も、現在の5,000億ドル(約75兆円)から、2030年には「7,000〜8,000億ドル」(約105〜120兆円)へと拡大する見込みです。
1人あたりGDPも、現在の4,536ドルから、2030年には「8,500ドル」を目指しています。これが達成されれば、ベトナムは完全に中所得国の仲間入りを果たすことになります。
ここで重要なのは、「若年人口ボーナス」が2040年まで続くという点です。平均年齢32歳という若い人口構成は、消費市場としての魅力を長期的に支える要因になります。
ベトナムが抱えている問題:光と影
しかし、「ベトナムが抱えている問題は?」という視点も忘れてはいけません。急速な経済成長の裏側には、いくつかの深刻な課題が存在しています。
「最大の問題」は所得格差の拡大です。都市部の所得は農村部の「1.5倍」に達しており、この格差は拡大傾向にあります。特に山岳部や少数民族地域の貧困率は「約27%」と、全国平均の5%を大きく上回っています。
東南部工業地域(ホーチミン周辺)の平均月収が708万VND(約4万2,000円)なのに対し、地方の農村部では大幅に低い水準にとどまっています。
「第二の問題」は、税制の未整備です。富裕層への体系的な課税制度がまだ確立されておらず、キャピタルゲイン税や相続税も未導入です。これが、シンガポールや香港への資産移転を促す要因になっています。
「第三の問題」は、金融システムの脆弱性です。2024年5月時点で不良債権比率は「4.9%」と、まだ高い水準にあります。特に不動産関連債務のデフォルトリスクは継続しています。
「第四の問題」は、「中所得国の罠」リスクです。製造業中心の成長モデルから、より高付加価値産業への転換が求められていますが、これには時間がかかります。
私がハノイで生活していて感じるのは、この「格差」の実態です。ロッテセンターで高級品を買い物する富裕層がいる一方で、郊外の農村部では依然として厳しい生活を送る人々も多いのが現実です。
投資家として注目すべきセクター
これらの分析を踏まえると、投資家として注目すべきセクターが見えてきます。
「高級消費財市場」は、富裕層・中間層の急拡大により、高級不動産、自動車、ファッション、旅行などの市場が急成長します。ビンホームズ(VHM)やマサングループ(MSN)などが恩恵を受けるでしょう。
「金融サービス市場」では、プライベートバンキング、資産運用、保険などのニーズが急増します。テクコムバンク(TCB)やベトコムバンク(VCB)が有望です。
「デジタル経済」の分野では、Eコマース、フィンテック、AI等のテクノロジー市場が爆発的に成長します。FPT株式会社(FPT)は特に注目です。
「株式市場」では、2026年のFTSE格上げによる資金流入に期待が集まります。ETFを通じた分散投資も有効でしょう。
「不動産市場」は、2024年後半から回復基調にあり、高級物件需要は堅調に推移しています。
リスクとの向き合い方
もちろん、投資にはリスクがあります。政治的不透明性、汚職問題、規制環境の変化など、新興国特有のリスクは常に存在します。
また、富の海外流出リスクも無視できません。実際、多くの富裕層がシンガポールや香港に資産を移転させている事実があります。
しかし、これらのリスクを上回るポテンシャルがベトナムにはあると、私は確信しています。なぜなら、構造的な成長ドライバー(若い人口、FDI流入、中間層拡大、デジタル化)が全て揃っているからです。
個人的な結論:長期投資の好機
12年間ハノイで生活し、この国の変化を目の当たりにしてきた私の結論は明確です。ベトナムは今、「富裕層急増期」という歴史的な転換点にあり、これは長期投資の絶好の機会だということです。
2030年までの成長ストーリーは、単なる予測ではなく、すでに動き始めている現実です。中間層が5,000万人に達し、富裕層が1万人を超え、個人金融資産が100兆円規模になる。この巨大な富の創造プロセスに、今から参加できるチャンスがあるんです。
もちろん、短期的な変動や調整局面はあるでしょう。でも、10年後のベトナムを見据えたとき、今の株価水準は非常に魅力的に見えます。
実際、私のポートフォリオの約50%はベトナム株で構成されています。VIC(ビングループ)、FPT、MSN(マサングループ)、そしてベトナム株ETFを中心に、この国の成長に長期的にコミットしています。
皆さんも、この歴史的な成長ストーリーの一部になってみませんか?
いかがでしたでしょうか。今回のベトナム富裕層と経済の将来性について、皆さんのご意見もぜひお聞かせください。コメント欄や@viettechtaroのDMでお待ちしています。
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