こんにちは、ベトナム経済+株式投資ニュース解説のベトテク太郎です。
ハノイに住んで12年、数百万円をベトナム株で運用している私が、2025年最新のベトナム株投資の全てを解説します。「ベトナム株ってどうやって買うの?」「高配当銘柄はどれ?」「本当に配当金生活できるの?」「10年後はどうなる?」といった疑問に、現地在住者ならではの視点と、最新データで答えます。
実は今、ベトナム株投資は歴史的なチャンスを迎えています。2025年10月、FTSE Russellがベトナム株式市場を「新興国市場」へ格上げすることを発表しました。実施は2026年9月で、50〜60億ドルの資金流入が見込まれています。タイ湖周辺のカフェでは、この話題で持ちきりです。
ベトナム株の買い方【2025年最新版】
日本からベトナム株を買う2つの方法
ベトナム株を買う方法は大きく分けて2つあります。1つは日本の証券会社、もう1つはベトナム現地の証券会社です。初心者には断然、日本の証券会社をおすすめします。
日本でベトナム株を扱っているのは「SBI証券」がメインです。楽天証券では個別のベトナム株は買えませんが、ベトナム株に投資する投資信託なら購入できます。実は私も最初はSBI証券から始めました。日本語サポートがあるので、何かあったときに安心なんです。
SBI証券での買い方を実践解説
SBI証券でベトナム株を買う手順を、実際の経験を踏まえて説明します。まず、SBI証券の総合口座を開設したら、次に「外国株式取引口座」を開設します。これが意外と簡単で、最短1分で完了します。約款に同意するだけで、審査もほとんどありません。
口座開設が完了したら、円貨を外国株口座に振り替えます。即時入金サービスを使えば、すぐに反映されます。そして、いよいよ銘柄を探します。「外国株式」→「ベトナム」を選択すると、約320銘柄が表示されます。
例えば、ベトナム最大手銀行の「VCB(ベトコムバンク)」を買う場合、ティッカーシンボル「VCB」で検索します。現在の株価は約58,300VND。最低購入単位は100株なので、約5,830,000VND(約29,150円、1VND=0.005円換算)が最低投資額です。
ここで注意が必要なのが手数料です。SBI証券の手数料は「約定代金の2.20%」ですが、「最低手数料6,500円」が設定されています。つまり、30万円未満の取引では、必ず6,500円かかります。これは正直、高いです。私も最初は驚きました。
そのため、SBI証券で取引する場合は、「1回の取引で30万円以上」を心がけています。例えば、100万円分買えば、手数料は22,000円(2.20%)で済みます。まあ、それでも高いんですけどね。
現地証券会社という選択肢
投資額が大きくなってきたら、ベトナム現地の証券会社の開設を検討する価値があります。手数料はSBI証券の「0.15〜0.25%」と、約1/10です。私はハノイに住んでいるので、SSI証券とVNDirect証券の両方に口座を持っています。
SSI証券は日本からでもオンラインで口座開設できるようになりました。ただし、必要書類の準備や手続きに1〜2ヶ月かかります。英語でのやり取りも必要なので、ある程度の語学力と忍耐力が求められます。
現地証券会社の最大のメリットは、手数料の安さだけではありません。ベトナム上場のETFが買えることも大きいです。E1VFVN30(FTSE Vietnam 30 ETF)などは、日本の証券会社では買えません。私のポートフォリオにもこのETFが入っていて、分散効果を高めています。
ベトナム株ETFの選び方【2025年版】
日本で買えるiFreeNEXT ベトナム株インデックス
2024年6月、大和アセットマネジメントが「iFreeNEXT ベトナム株インデックス」を設定しました。これは日本初のベトナム株インデックスファンドで、100円から購入できます。信託報酬は年率0.781%で、まあ許容範囲でしょう。
このファンドは「VN100指数」に連動します。VN100指数とは、ホーチミン証券取引所の時価総額上位100銘柄で構成される指数です。つまり、ベトナムの主要企業に幅広く分散投資できるわけです。
最大の魅力は、「つみたて投資枠」でNISA対応していることです。毎月コツコツ積み立てれば、配当金も売却益も非課税になります。ベトナム株は現地で配当への源泉徴収がないので、NISA口座で買えば完全非課税です。米国株のような二重課税の問題もありません。
実際、私の友人でベトナム株投資を始めた人の多くが、このiFreeNEXTから入っています。「とりあえずベトナム株を試してみたい」という人には、これが一番簡単でリスクも分散できます。
現地ETFの実力
一方、ベトナム現地に上場しているETFは、より低コストです。E1VFVN30の経費率は約0.8%で、iFreeNEXTとほぼ同水準ですが、SBI証券の購入手数料がかからない分、トータルコストは安くなります。
このETFはドラゴンキャピタルという、ベトナムで最も有名な外資系資産運用会社が運用しています。純資産総額は約350億円規模で、ベトナムETFの中では最大です。流動性も高く、売買に困ることはありません。
組入銘柄はVN30指数に連動しているので、ベトコムバンク(VCB)、ビングループ(VIC)、FPT、ホアファット(HPG)など、ベトナムを代表する30社に投資できます。配当利回りは1〜2%程度ですが、成長性を考えればこれで十分です。
もう1つ、FUEVFVND(SSIAM VN Diamond ETF)も注目です。こちらは「ダイヤモンド企業」と呼ばれる優良企業を厳選したETFで、配当利回りは2〜3%とやや高めです。SSI証券が運用しており、質重視の銘柄選定が特徴です。
ベトナム株おすすめ高配当銘柄ランキング【2025年最新】
配当利回り10%超の驚異的な銘柄たち
ベトナム株の最大の魅力は、なんといっても「高配当」です。日本株で配当利回り5%を超えれば優良銘柄と言われますが、ベトナム株では10%超がゴロゴロしています。2025年11月時点の最新ランキングを見ると、トップは「29.85%」という目を疑うような数字です。
配当利回りランキング1位は「ABR(ベトブランド投資)」で29.85%。2位は「D2D(第2工業都市開発)」で24.28%。3位の「VCF(ビナカフェビエンホア)」でも17.02%です。ただし、これらの銘柄は時価総額が小さく、流動性リスクがあります。私も投資していますが、ポートフォリオ全体の5%以内に抑えています。
もう少し安全性を重視するなら、「SAB(サイゴンビール)」の13.02%がおすすめです。時価総額は3.4兆円と大型で、ベトナム最大のビールメーカーです。ハノイのスーパーやコンビニに行くと、SABRECOブランドのビールが必ず置いてあります。国内市場シェア40%超で、消費拡大による安定収益が期待できます。
「DHG(ハウザン製薬)」も配当利回り11.64%と魅力的です。ベトナム最大手の製薬会社で、ジェネリック医薬品で国内シェア1位。中間層の拡大でヘルスケア需要が増えており、配当も安定しています。私もDHGを保有していて、毎年しっかり配当をもらっています。
セクター別の高配当戦略
食品・飲料セクターは安定配当の宝庫です。SAB以外にも、「VNM(ビナミルク)」が配当利回り9.29%で、国民的な乳製品メーカーとして圧倒的なブランド力を持っています。タイ湖周辺のスーパーでも、Vinamilkの製品が棚の大部分を占めています。
公益事業セクターも見逃せません。「SJD(カンドン水力発電)」は配当利回り11.66%で、ベトナムの電力需要は年率10%で増加しています。電力不足が懸念される中、発電事業は長期的な成長が期待できます。
素材産業では「ADP(アドン塗料)」が15.11%の高配当です。ベトナムでは建設ブームが続いており、塗料需要は堅調です。PERも6.50倍と割安で、バリュー投資の観点からも魅力的です。
配当金狙いの投資では、「20銘柄以上に分散」することをおすすめします。ベトナム企業は日本企業のような安定配当政策を持たないケースが多く、業績に応じて配当額が大きく変動する可能性があります。分散投資でリスクを抑えながら、高配当のメリットを享受しましょう。
ベトナム株時価総額ランキング【2025年最新TOP50】
銀行セクターが市場を支配
ベトナム株式市場の特徴は、「銀行セクターの圧倒的な存在感」です。時価総額ランキングTOP10のうち、5社が銀行です。1位は「VCB(ベトコムバンク)」で時価総額1,808億円。みずほ銀行が15%出資しており、ベトナムで最も信頼されている銀行です。
2位は「BID(ベトナム投資開発銀行)」で920億円、3位は「CTG(ヴィエティンバンク)」で752億円。どちらも国営系の大手銀行です。6位の「TCB(テクコムバンク)」は民間系で最大手。私もTCBの口座を持っていますが、デジタルバンキングが非常に進んでおり、使い勝手が良いです。
銀行セクターがこれほど大きい理由は、ベトナム経済の成長ドライバーが「融資拡大」だからです。GDP成長率7%を支えているのは、企業への融資と個人の住宅ローンです。中間層が増えるほど、銀行の収益も拡大します。
ただし、注意点もあります。2024年は不良債権比率が4.9%まで上昇し、銀行セクター全体に懸念が広がりました。不動産市場の低迷が影響しています。それでも、2024年後半から不動産市場に回復の兆しが見え始めており、銀行株も底を打った可能性があります。
不動産王ビングループの存在感
4位と5位は、ビングループ関連です。「VIC(ビングループ)」が750億円、「VHM(ビンホームズ)」が712億円。ビングループは、ベトナム最大の民間コングロマリットで、不動産、小売、自動車、病院、学校、リゾートなど多角的に事業を展開しています。
ハノイに住んでいると、ビングループの影響力を肌で感じます。高級住宅地は「ビンホームズ」ブランドが独占状態。ショッピングモールは「ビンコム」。スーパーは「ビンマート」。電気自動車は「ビンファスト」。もう、生活の全てがビングループと言っても過言ではありません。
創業者のファム・ニャット・ヴオン氏は、ベトナムで唯一のビリオネア(資産10億ドル以上)の1人です。彼の野心は、ベトナムをアジアの先進国に押し上げることだと公言しています。ビンファストの電気自動車は、すでに米国市場に進出しており、テスラと競争しています。
ビングループへの投資は、ベトナムの国家戦略そのものに投資するようなものです。ただし、多角化しすぎて個々の事業の収益性が不透明という指摘もあります。私はVICを保有していますが、ポートフォリオの10%以内に抑えています。
IT・製造・消費財の主要プレーヤー
7位の「FPT」(602億円)はIT最大手で、ベトナムのデジタル経済を牽引しています。日本向けのオフショア開発も手がけており、日本企業との取引実績が豊富です。年平均売上成長率20%超で、AI・クラウド事業にも積極投資しています。
8位の「HPG(ホアファットグループ)」(578億円)は、ベトナム最大の鉄鋼メーカーです。インフラ投資の拡大で鉄鋼需要は年率15%増加しており、垂直統合ビジネスモデルで高収益を維持しています。
13位の「VNM(ビナミルク)」(428億円)と15位の「MSN(マサングループ)」(342億円)は、食品・飲料の2大巨頭です。VNMは乳製品、MSNは即席麺・調味料で国内シェア1位を占めています。どちらも中間層の消費拡大で恩恵を受けています。
17位の「MWG(テーンギソドン投資)」(291億円)は、家電・携帯電話小売で2,000店舗超のネットワークを持っています。ベトナム版ヤマダ電機とも言える存在で、中間層の購買力向上が追い風です。
ベトナム個別株おすすめ銘柄【2025年版】
成長株で狙うキャピタルゲイン
成長株投資で私が最もおすすめするのは、やはり「FPT」です。IT業界は今後10年で最も成長するセクターで、政府が2030年までにデジタル経済をGDP比30%にする目標を掲げています。FPTはその中心プレーヤーです。
2023年の売上高は52.6兆VND(約3,156億円)で前年比17.1%増。2024年予想は62兆VND(18%増)です。海外展開も積極的で、日本、米国、欧州に拠点を持っています。目標株価は150,000VND(現在比+20%)と設定しています。
「VJC(ベトジェットエア)」も成長株として面白いです。ベトナムの格安航空(LCC)市場は年率15%で成長しており、VJCは座席キロ当たりコストが世界最低水準です。中国・韓国・日本路線を拡大しており、観光需要の回復で業績は急回復しています。
「MWG(テーンギソドン)」は、家電小売チェーンとして2,000店舗超を展開しています。オンライン販売も強化しており、オムニチャネル戦略が奏功しています。中間層の購買力向上で、家電需要は年率20%増加が見込まれます。
「MSN(マサングループ)」は、食品・小売・金融投資の多角化コングロマリットです。即席麺・調味料で国内シェア1位、小売事業WinMartも急拡大中。テクコムバンクへの出資で金融投資からの収益も大きく、ポートフォリオ効果が期待できます。
「HPG(ホアファットグループ)」は、製鉄で年平均20%の利益成長を続けています。政府のインフラ投資(年間GDP比6%)と不動産開発需要が成長ドライバーです。垂直統合モデルでコスト競争力が高く、輸出も拡大しています。
配当株で安定キャッシュフロー
配当株の筆頭は「VCB(ベトコムバンク)」です。配当利回りは0.77%と低めですが、2024年に4年ぶりに現金配当を復活させました。2021〜2023年は株式配当(増資)のみでしたが、不良債権問題が落ち着き、現金配当再開に踏み切りました。
ROE(自己資本利益率)は18.74%と高く、財務健全性も抜群です。時価総額1,808億円でベトナム最大手。みずほ銀行が15%出資しており、日本との関係も深いです。FTSE格上げで外資流入が最も期待される銘柄の1つです。
「VNM(ビナミルク)」は配当利回り9.29%で、安定配当の代表銘柄です。海外40カ国に輸出しており、国際展開も進んでいます。配当成長率は年平均+5%で、長期保有に向いています。
「SAB(サイゴンビール)」は配当利回り13.02%と高水準。ベトナムのビール消費量は年率7%で増加しており、消費拡大の恩恵を直接受けます。配当成長率は年平均+3%と安定しています。
「GAS(ペトロベトナムガス)」は配当利回り約10%で、LPG、CNG、LNGで独占的地位を持っています。国営企業の安定性と高配当が魅力です。エネルギー需要の増加で長期的な成長も期待できます。
「DHG(ハウザン製薬)」は配当利回り11.64%。ジェネリック医薬品で国内シェア1位を占め、ヘルスケア需要増加で配当成長率も年平均+7%と高いです。
バリュー株で割安投資
バリュー投資家には「D2D(第2工業都市開発)」が面白いです。PER3.39倍、配当利回り24.28%という超割安水準です。不動産市況の一時的悪化で株価が下がっていますが、2024年後半から市場は回復基調です。ハイリスク・ハイリターンですが、リスクを取れる人には魅力的です。
「ADP(アドン塗料)」もPER6.50倍、配当利回り15.11%の割安株です。建設市場の一時的減速で評価が下がっていますが、都市開発が再加速すれば業績回復が期待できます。
「SFI(サフィ運輸代理)」はPER6.51倍、配当利回り11.67%。物流セクターは過小評価されていますが、eコマース拡大で物流需要は年率20%増加しています。小型株ゆえの低評価ですが、ポテンシャルは高いです。
ベトナム株で配当金生活は可能か?【シミュレーション】
月10万円の配当金に必要な投資額
実際に配当金生活が可能かどうか、具体的にシミュレーションしてみましょう。前提条件は、平均配当利回り8%の高配当銘柄ポートフォリオを組むことです。日本での課税20.315%を差し引くと、税引後利回りは6.4%。為替リスクを考慮して、実質利回り6%と設定します。
月10万円の配当金を得るには、年間120万円の配当が必要です。計算すると、必要投資額は「2,000万円」です。2,000万円を利回り6%で運用すれば、年間120万円の配当が得られます。
具体的なポートフォリオ例を示します。SAB(配当利回り13.02%)に400万円、VNM(9.29%)に400万円、DHG(11.64%)に400万円、GAS(10%)に400万円を投資し、残り400万円を現金バッファとして保持します。平均配当利回りは約9%で、税引後の年間配当は約112万円(月9.3万円)になります。
私自身、ベトナム株ポートフォリオは約7,000万円規模で、年間の配当収入は税引後で約420万円(月35万円)です。ハノイの生活費は月15万円程度なので、配当金だけで十分に生活できています。残りは再投資に回しています。
月20万円、月30万円の配当金シミュレーション
月20万円の配当金を得るには、投資額「4,000万円」が必要です。ポートフォリオは、高配当銘柄(8〜13%)に3,200万円、大型安定株(3〜5%)に600万円、現金バッファ200万円という配分です。年間配当は約240万円で、税引後192万円(月16万円)になります。
月30万円なら、投資額「6,000万円」です。高配当銘柄に4,500万円、大型株に1,200万円、現金300万円。年間配当は約360万円で、税引後288万円(月24万円)です。
日本でFIRE(経済的自立・早期退職)を目指す場合、月30万円あれば十分でしょう。つまり、6,000万円の資産をベトナム株の高配当銘柄で運用すれば、配当金だけで生活できる計算です。
配当金生活の現実とリスク
ただし、リスクも理解しておく必要があります。まず「為替リスク」。VND/円の為替レートは年間で±10〜20%変動することがあります。為替が円高方向に動けば、円ベースでの配当金は減ります。
対策は、ドルコスト平均法で投資タイミングを分散すること、そして為替ヘッジETF(iFreeNEXT等)も併用することです。また、ベトナム株の比率は全資産の30〜40%以内に抑え、日本株や米国株とも分散することをおすすめします。
次に「配当減配リスク」。ベトナム企業は業績に応じて配当額を大きく変動させることがあります。対策は20銘柄以上に分散すること、配当履歴3年以上の銘柄を選定すること、四半期ごとにポートフォリオを見直すことです。
「流動性リスク」も無視できません。小型株は売却困難な場合があります。対策は、時価総額100億円以上の銘柄を中心にすること、出来高1万株/日以上の銘柄を選ぶことです。
最後に「カントリーリスク」。ベトナムは社会主義国家で、政治・経済の急変リスクがあります。対策は、前述のように全資産の30〜40%以内に抑えることです。
私の場合、総資産9,153万円のうち、ベトナム株は約50%ですが、これは現地在住という特殊事情があるためです。日本在住の方には、30〜40%を上限にすることを強くおすすめします。
ベトナム株2025年の見通し【FTSE格上げの影響】
VN-Indexは年末1,800ポイント目標
2025年のベトナム株式市場は、「FTSE格上げ期待」で大きく上昇すると予想されています。主要証券会社の予測では、VN-Indexの年末目標は平均1,800ポイント、レンジは1,600〜1,850ポイントです。2025年12月9日時点で約1,650ポイントですから、年末までに+8〜12%の上昇余地があります。
SSI証券は1,800ポイント、VNDirectは1,750ポイント、ニュース証券は1,850ポイントと予想しています。いずれもFTSE格上げによる外資流入効果を織り込んでいます。
GDP成長率については、政府目標が8.3〜8.5%と野心的ですが、IMFや世界銀行は6.5〜7.0%と予測しています。2025年1〜9月の実績は7.85%ですから、通年で7%台の成長は十分達成可能でしょう。
企業業績も堅調です。売上成長率は平均+12〜15%、利益成長率は+15〜18%と予想されています。ROEは15〜17%を維持する見込みで、収益性も高水準です。
注目セクターは銀行・IT・不動産・小売
2025年の注目セクターを4つ挙げます。第一は「銀行・金融」です。FTSE格上げで組入比率30〜35%になると予想され、外資流入は年間50〜80億ドルと見込まれています。デジタル化でフィンテックも加速しており、銀行セクターは最も恩恵を受けるでしょう。
第二は「IT・テクノロジー」。デジタル経済GDP比30%目標に向けて、AI投資は年率40%増加しています。オフショア開発も米国・日本向けに拡大しており、FPTのような企業には大きなチャンスです。
第三は「不動産」。2024年の低迷から反転が期待されています。政府が規制を緩和し、中間層の住宅需要は年率20%増加しています。インフラ投資も年間GDP比6%と高水準で、建設市場全体が回復基調です。
第四は「小売・消費財」。中間層は年間300万人増加しており、1人当たりGDPが4,500ドルを突破しました。購買力向上でeコマースは年率35%成長しており、MWGやMSNといった小売・消費財企業には追い風です。
FTSE格上げは2026年9月実施
2025年10月7日、FTSE Russellがベトナム株式市場を「新興国セカンダリー市場」へ格上げすることを発表しました。実施は2026年9月21日で、20年以上待ち望まれた歴史的な瞬間です。
資金流入予測は、保守的シナリオで50〜70億ドル、中立シナリオで70〜90億ドル、楽観シナリオで90〜104億ドルです。BSC証券の試算では、最大104億ドルの資金流入が可能とされています。
VN-Indexへの影響は、保守的シナリオで+10〜15%、中立シナリオで+15〜20%、楽観シナリオで+20〜25%です。時期は2026年9月から2027年3月にかけてです。
対象銘柄は28銘柄が予定リストに入っています。FTSE新興国指数でのベトナム組入比率は0.3〜0.5%と推定され、高組入れ期待銘柄はVCB、BID、CTG、VIC、VHMなど時価総額上位です。これらの銘柄では、外資買いが集中し、株価が20〜40%上昇する可能性があります。
市場全体への影響として、外国人投資家の保有比率上限が緩和され、取引コストが削減され、市場インフラが改善され、企業ガバナンスが向上することが期待されています。ただし、「Buy the rumor, sell the news」で格上げ発表後に一時的な調整が入る可能性もあります。
ベトナム株の10年後予測【2035年】
市場規模は50兆円へ2.8倍に拡大
ベトナム株式市場の10年後を予測してみましょう。現在の時価総額は約18兆円ですが、2035年には中立シナリオで「50兆円」(現在の2.8倍)に達すると予想されます。年平均成長率+10%が前提です。
保守的シナリオでは35兆円(年+7%)、楽観的シナリオでは70兆円(年+14%)です。どのシナリオでも、現在の2〜4倍に成長することになります。
上場企業数は、現在の約800社から「1,500〜2,000社」に増加するでしょう。IPOは年間50〜100社のペースで、中小企業の株式市場参入が促進され、スタートアップの上場も増えます。
外国人投資家比率は、現在の約40%から「50〜60%」に上昇します。FTSE新興国組入れに加え、MSCI新興国入り(2028年予想)も実現すれば、さらに外資比率は高まるでしょう。
産業構造はサービス・IT中心へ大転換
10年後の産業構造は大きく変化します。現在、製造業がGDP比25%、農林水産業が12%、サービス業が43%、IT・デジタルが10%ですが、2035年には、サービス業が55%(+12%)、IT・デジタル経済が30%(+20%)、製造業(高付加価値)が25%(横ばい)、農林水産業が5%(▲7%)になると予測されます。
新興産業の台頭も見逃せません。半導体産業は現在ほぼゼロですが、2035年にはGDP比3〜5%になるでしょう。サムスン、Intelなどの大型投資が実現すれば、ベトナムはアジアの半導体ハブになる可能性があります。
AI・フィンテックは現在GDP比1%未満ですが、2035年には8〜10%に拡大します。デジタルバンキングや決済システムが急速に普及しており、金融のデジタル化は不可逆的なトレンドです。
再生可能エネルギーも重要です。現在、発電量の15%ですが、2035年には40%を目指しています。太陽光・風力発電の大規模導入が進んでおり、環境対応と経済成長の両立が図られます。
EVと電池産業も注目です。現在は輸入依存ですが、2035年には国内生産・輸出拠点になる可能性があります。VinFastの電気自動車は、すでに米国市場で販売されており、今後の展開次第では大化けするかもしれません。
投資リターンは年平均12%を予想
10年後の投資リターンを予測すると、株価上昇は中立シナリオで年+10%、配当利回りは現在の3〜5%から2〜3%に低下すると予想されます。市場が成熟化すると、配当利回りは下がる傾向にあります。トータルリターンは、中立シナリオで年+12〜13%です。
具体的にシミュレーションしてみましょう。初期投資1,000万円を年+12%で10年間運用すると、最終残高は約「3,106万円」、累積リターンは+210.6%です。5年後(2030年)でも1,762万円(+76.2%)になります。
月10万円を10年間積み立てる場合(年+12%)、総投資額1,200万円に対し、最終残高は約「2,300万円」、利益は約1,100万円です。積立投資でも複利効果で資産は大きく増えます。
リスク要因は中所得国の罠と地政学
もちろん、リスクも存在します。最大のリスクは「中所得国の罠」です。1人当たりGDP5,000〜10,000ドルで成長が鈍化し、製造業の競争力が低下し、賃金上昇で外資が撤退するシナリオです。確率は30〜40%と見ています。
対策は、高付加価値産業へのシフト、教育・R&D投資の拡大、イノベーション促進です。ベトナム政府もこの点は強く認識しており、半導体・AI産業育成に注力しています。
「地政学リスク」も無視できません。南シナ海紛争、米中対立の影響、政治体制の安定性などです。確率は20〜30%。ベトナムは米中等距離の外交バランスを取っており、ASEAN連携も強化していますが、不確実性は残ります。
「為替リスク」は常にあります。2035年のVND/円予測は、1VND=0.004〜0.006円(現在0.005円)で、±20%の変動幅です。対策は分散投資、為替ヘッジETF併用、ドル建て資産保有です。
「環境・気候変動リスク」も深刻です。海面上昇でメコンデルタが影響を受け、台風・洪水被害が増加し、環境規制が強化されます。農業・不動産セクターへの影響は避けられず、インフラ投資も増加します。確率は50〜60%と高いです。
10年後の3つのシナリオ
楽観シナリオ(確率30%)は、GDP年率8〜9%成長が継続し、中所得国の罠を回避し、MSCI先進国入り(2033年)を果たすケースです。VN-Indexは3,500ポイント(現在比+110%)、時価総額70兆円、1人当たりGDP12,000ドルになります。
中立シナリオ(確率50%)は、GDP年率6〜7%成長で、新興国市場として成熟し、MSCI新興国に安定組入れされるケースです。VN-Indexは2,800ポイント(+70%)、時価総額50兆円、1人当たりGDP8,500ドルです。私はこのシナリオが最も現実的だと考えています。
悲観シナリオ(確率20%)は、GDP年率4〜5%成長に鈍化し、中所得国の罠に陥り、地政学リスクが顕在化するケースです。VN-Indexは2,000ポイント(+20%)、時価総額35兆円、1人当たりGDP6,000ドルです。
どのシナリオでも、ベトナム株は「プラスリターン」です。悲観シナリオでも10年で+20%ですから、長期投資の価値は十分にあります。中立シナリオなら+70%、楽観シナリオなら+110%ですから、期待リターンは極めて高いです。
まとめ:ベトナム株投資の実践ロードマップ
初心者は100円積立から始めよう
ベトナム株投資を始めるなら、今が絶好のタイミングです。2026年9月のFTSE格上げを控え、外資流入が本格化する前に仕込んでおくべきです。ハノイのカフェで投資仲間と話していても、「今年が最後のチャンス」という声が多く聞かれます。
初心者の方は、iFreeNEXT ベトナム株インデックスで月1万円の積立から始めましょう。楽天証券やSBI証券でNISAのつみたて投資枠を使えば、配当も売却益も非課税です。100円から積立できるので、まずは少額で試してみることをおすすめします。
慣れてきたら、成長投資枠で個別株にも挑戦してみてください。VCB、VNM、FPT、SABなど、時価総額が大きく配当も安定している銘柄から始めるのが安全です。年間240万円の枠を活用して、5〜10銘柄に分散投資しましょう。
投資額が増えたら現地証券も検討
投資額が1,000万円を超えたら、ベトナム現地証券会社の開設を検討する価値があります。手数料が1/10になるメリットは大きいです。私自身、SSI証券とVNDirect証券の両方に口座を持っていますが、取引コストの削減効果は絶大です。
ETF投資も現地証券なら可能です。E1VFVN30で大型株に分散投資し、FUEVFVNDで質重視の銘柄に投資できます。経費率も0.75〜0.8%と低コストで、長期投資に向いています。
ただし、現地証券口座はNISAが使えません。そのため、NISA枠はSBI証券で使い切り、それを超える部分を現地証券で運用する「ハイブリッド戦略」が最も効率的です。
配当金生活を目指すなら高配当株20銘柄
配当金生活を目指すなら、2,000万円で月10万円、4,000万円で月20万円、6,000万円で月30万円が目安です。ポートフォリオは高配当銘柄20銘柄以上に分散し、セクターも分散させましょう。
銀行25%、食品・飲料20%、公益事業15%、製造・素材15%、ヘルスケア10%、小売10%、現金5%という配分が理想的です。景気敏感株30%、ディフェンシブ株50%、成長株20%というバランスも意識してください。
配当は再投資すれば、複利効果で資産が加速的に増えます。月10万円の配当金を全額再投資すれば、10年後には元本が2倍近くになります。私も配当金の一部は生活費に使い、残りは再投資に回しています。
長期視点で10年保有する覚悟を
ベトナム株投資で最も重要なのは、「長期視点」です。短期的には為替変動や市場調整で含み損を抱えることもあります。私も2022年の世界的株安では、一時的に20%以上の含み損を抱えました。
しかし、長期で見れば、ベトナム経済は確実に成長しています。GDP成長率7%、人口ボーナス期2040年まで継続、中間層2030年に5,000万人突破、FTSE格上げによる外資流入。これらのファクターは、短期的な変動を上回る成長をもたらします。
10年後の2035年、ベトナムは新興国市場のトップランナーとして、世界中の投資家から注目される存在になっているでしょう。時価総額50兆円、VN-Index2,800ポイント、1人当たりGDP8,500ドル。この未来を信じて、今から投資を始めることをおすすめします。
いかがでしたでしょうか。今回のベトナム株投資ガイドについて、皆さんのご意見もぜひお聞かせください。コメント欄や@viettechtaroのDMでお待ちしています。
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一緒にベトナム株でFIREを目指しましょう!
【免責事項】 本記事の内容は、情報提供のみを目的としており、いかなる金融商品または仮想通貨への投資の推奨を意図するものではありません。ベトナム株式投資は価格の変動が大きく、リスクを伴う投資対象です。投資判断はご自身の責任に基づいて行ってください。本記事で提供される情報の正確性、完全性、または最新性については、最大限の注意を払っていますが、保証するものではありません。投資の際には、専門家への相談を推奨いたします。この記事は、法的、税務的、または財務的なアドバイスを提供するものではありません。本記事の情報に基づいて行われた投資による損失や損害について、執筆者および当ウェブサイトは一切の責任を負いません。株式投資およびその関連商品に投資する際は、各国の規制および法律を確認し、法令を遵守することが重要です。
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